第三級(3級)アマチュア 無線技士の国家試験を受験してきた、というお話です。
(試験勉強をしていたのでここ2週間新規の投稿がありませんでした。)
本日 (11/11) が試験日で結果発表は 11/19 郵送で発送予定、とのことなのでまだ合格したわけではありませんが、そこそこ出来たと思いますので、受験の熱が冷めてしまわないうちに試験関連のお話をメモしておこうと思います(不合格だったら流石に恥ずかしいのでこのエントリーは削除すると思いますが)。
また、単なる丸暗記はもともと苦手で、さらに 60歳を過ぎると記憶力の低下が実感としてわかるので、なんとか「理解する」「理解できなくても何かしらの腹落ちをする」ことは心がけましたので、この点だけは次回にまとめるとして今回は一通りの準備を振り返っておこうと思います。
第三級になって何が良いの?何をするの?
現在は第四級(4級)の資格ですが、10W 出力のトランシーバーで交信を聞いたりたまに出てみるくらいの運用で特に大きな不満なく楽しんでいます。
3級になれば、今よりより大きな出力 (50Wまで) を出せる(ハードウェアを購入すれば)ようになりますし、4級では使用できない周波数も一部さらに利用できるようになりますし (18MHz帯)、モールス信号による交信ができるようになる、という制限緩和があります。
若ければより強い出力に惹かれるでしょうし(実際過去に自分が 3級を受験した理由はコレ)、交信して先輩諸氏に「今10Wです」と話すと、「えー 10W で運用しているの?頑張って 50W くらい出せるようにしたほうが世界が広がるよ!」と何回もアドバイス頂いているので、もう少し高出力のトランシーバーが欲しくないわけではありません。
しかし、実はすでに新しいリグに手を出していて、IC-705 (最大 10W出力) を導入済みです。ですのでさらに高出力のものをまた購入するほどお金はありませんし、IC-705 ではそれまでのハンディ機ではサポートしていなかった周波数帯( HF/短波帯) や、送受信モード (DSB, SSB, CW..) など私にとって未開拓の世界がたっぷり残されていますので、単に高出力を求めてハードを追加しなくても(4級のままでも)当面楽しめそうです。
まぁ、IC-705では使用できるけれども 4級では使用を認められていない周波数帯 (18MHz) もあるので、3級の資格があれば IC-705 を隅々まで楽しめるようになる、というくらいのメリットはありますが。
なぜ第三級アマチュア 無線技士の試験を受験したのか?
では、高出力に強く惹かれていないのであれば、なぜ 60歳すぎてわざわざ 3級を受験などしたのか?というと、自分では二つあると考えています。
約30年のリベンジ
一つ目は 4級を取得した直後に実は 3級を受験していたのですが、当時モールス信号をちゃんと勉強できなかったために合格できなかった、ということです。当時はモールス信号の聞き取り実技試験があったのが今は読み取りだけになっていますが、やっぱり落ちたままというのは悔しいですからリベンジしたいです。なんと言っても今はモールス信号を覚えるくらいの時間は十分ありますし。
(後述しますが、結果としては3級試験対策としてのモールス信号の勉強はそれほど時間もかかりませんでした)
昔勉強したはずの無線工学も法規も全く覚えていない
どちらかというと、こちらの理由の方が大きいです。
自分でも少し電波を出したり人様の交信に耳を傾けていると、やはり最低限の定められた交信手順すらちゃんと覚えていないことを痛感しました。これはどちらかと言うと「忘れた」と言うよりはそもそも限られた友人としか交信していなかったり、実際にあまり使っていなかったので「実務的にマスターしていなかった」と言うのが最大の原因でしょう。とはいえ再確認のための勉強は必要だと思いました。
さらに交信の話題となるテーマとしては無線機とアンテナの話題になることが多いですし、雑誌やネットを見ても当然そういった技術的な記事が多いです。チンプンカンプンと言うほどではありませんが、もう少し掘り下げて無線工学の試験問題くらいは解けるようになっていたいというのが強い動機になりました。ところが今回問題集を開いてみたら、30年前の 4級の試験勉強の際には無線工学の「基礎知識」「電子回路」に関しては多分苦手意識があったので理解を避けて覚えることだけに徹して対応したような記憶が蘇ってきました。
そういえば第二種電気工事士試験を受験した際にも交流回路、インピーダンスといった用語にはできるだけ近づかないような勉強をしていたようなきがします。。。
私の試験準備・試験勉強
基本は他の方も言われているように、問題集を繰り返し解いて覚えてしまうくらいにしておく、と言うのが基本だと思いますし、実際この後紹介する問題集をメリハリはつけましたけれども 5周くらいはやった上で試験に臨みました。
ただしモールス信号に関しては、こう言った問題集に一覧や問題は載っていても「覚え方」までは解説されていないので、別途取り組みが必要でした。
モールス信号
ネットで色々探してみたら、まず「解読表」という表で覚える方法がいくつか紹介されていてまずはこれを印刷して机の横に貼り付けて覚えようとしました。しかしその後見つけた新合調法を理解してそこでも紹介されているモールスミュージックを聴くのが一番効果的でした。
解読表方式
YouTube をフォローしている CQチャンネル!! で紹介していたので、最初見た時は「おー、なるほど!」と思いました。他にもモールスチャンネルなんてのもあって、これいいじゃん!と覚える練習を始めました。
モールスチャンネル 第1回 『最初に覚える符号』 - YouTube
新合調法 とモールスミュージック
しかし、それを上回る覚え方がありました。名称はどうでも良いですが新合調法(語呂合わせ方)と呼ばれるもので、トンとツーの構成を整理した上で語呂合わせで覚えるものです。構成が整理されているので、覚えるパターンが限られるので楽チンです。
この新合調法の動画が Part1 -3 まで 3本あり、説明資料(のP4 と P6)を見ながら試聴すればほとんど覚えられた!という気持ちになれます。
👇説明資料
https://a1club.org/info/shin_gouchou.pdf
あとは口ずさむ回数をこなすだけです。私はこの動画でも紹介されているモールスミュージックを聴いて合わせて口ずさむことと、プールで泳ぐ時の往復数を A -Z で数えました。「えあー(A)、たーにだべ(B)...」と。
モールスミュージックはリズムが早いので、最初はプールで一往復ごとに何回も口ずさんだ方が馴染めたと思いますが、たまにはモールスミュージックを聴いてどの文字が弱いか点検していました。
どうしても一夜漬けで対応したい人には
3アマ講習会のモールスはコレだけで合格できる? - YouTube
一応この👆ような情報もありますし、モールス信号の問題数が多いわけではないので確率の勝負で対応する、という方法もありますが、上の新合調法とモールスミュージックを1週間対応してみることをお勧めします。
基本となる参考書
参考書としては問題集でもある「要点マスター」と「完マル(完全丸暗記)」の二つがメジャーだと思いますが、私は「要点マスター」を使いました。おそらくどちらを使っても結果は変わらないと思いますが、私自身が単なる丸暗記が苦手で理由の整理が無いと落ち着かないからです。
そうは言っても、「要点マスター」の解説は誌面が限られているためさほど丁寧に解説されているわけではありません。そこで近所の本屋さんに並んでいる範囲で良さそうな「初めての3級・4級アマチュア無線技士試験 テキスト」も読み物として購入しました。但し若干内容は古いようで、まだ真空管の解説があるけれども FET の解説は少ないなどやや偏りはあるようですが、送信機、受信機などは整理されているので読んでわかった気になれるテキストではありました。しかももうすぐ新版が出るようなので、さらにブラッシュアップされることが期待できます。
👆新版が 2021/11/17 に出る背伸びの資料 - リアクタンスからコイル/コンデンサの重要性/共振
上に消化した 2冊で 3級の試験には十分合格できますが、私の場合は時間的余裕もあったのでさらに「分かった感、腹落ち感」を求めて少し背伸びもして、アマチュア無線限定ではない一般の電気工学の基礎を紹介するサイトなどにも目を通してみました。
この👆サイトの解説には三角関数も出てくるので、文系の私には決して「わかりやすく」は無いのですが、下の図だけはインピーダンスとリアクタンスの整理に役立ちました。
実は他の多くの解説にこのインピーダンス、レジスタンス、リアクタンスの構造は解説されているのですが、残念ながら試験対策の上の2冊には載っていないお話でした。でも図でリアクタンスもインピーダンスを構成する一要素だと分かれば、インピーダンスとリアクタンスが少しは関連性を持って取り組むことができます。そして私にとってはリアクタンスが単なる試験用の暗記項目から少し身近に感じられたことが電気回路に対する苦手意識の突破口になったようで、もう少し勉強してみたい!と言う気持ちを持てるようになりました。
そうして少しインピーダンスやリアクタンスに対する精神的な壁が低くなると、一般的な電気工学サイトを見ているうちに、「なんだ、コイルとコンデンサはどこにでも登場するな。」と親しみさえ感じてくるでは無いですか!そうするとアマチュア無線の試験範囲でもコイルとコンデンサで成り立っている、と言うくらい目につくようになりました(今まで余程コイルとコンデンサから目を背けていたのでしょうね)。そうなると無線工学のどの試験範囲でも理解に余裕が出てきた感じがして、結局は効果的な試験勉強ができたような気もします。
そしてもう一冊購入したのがこれです。
Amazon の評価も高かったですし、私が知りたい/疑問に思っていたことが幾つか説明されていたので、久しぶりに「勉強したい感」を感じられて投資してみました。もちろんこの本がなくても十分合格点は取れるはずなので、高価でしかも試験の結果にはあまり影響しないというコスパの悪い本ですが、とても前向きな自分を感じられて自分のことながら少し嬉しくもなって買ってしまいました。ある程度三角関数を前提にしているので、その部分は今はすぐに理解できませんでした。しかし 100% 理解できなくとも、ひとまず理屈が説明されていれば「そんなものか」と安心して腹落ちできる、精神安定剤のようなところもあります。
但しこのあたりになると自己満足の世界なので、一般的なアマチュア無線の試験の話と分けてまた書きたいと思います。
直前の確認でオンライン模試
さてアマチュア無線の試験対策の話に戻ります。
ネットでは過去問題を元にしたオンライン模試のサイトがいくつかあるようです。新しいものの方が良いとは思いますが、私は試験直前の週末にこのサイトで何回か腕試しをしてみました。
srz.a.la9.jp
このサイトも古いので真空管の問題が出てきたりしますし、慌ててつまらない間違いをしてしまいなかなか満点を取れず焦ることもありましたが、ほぼほぼは対応できることが分かりそれなりの復習にはなったかと思います。
試験を受けてみて - 見直しで考えすぎで 1問間違えた。
上でも書いたように、計算問題も含めて「要点マスター」の範囲から出題されていましたが、一問だけ深読みして間違ってしまいました。それは運用の範囲の問題で、「送信の待機」の略符号(AS ".-...")の問題です。「要点マスター」の例題では、
応答に際し10分以上たたなければ通報を受信することができない出来ない事由が有る時は、「...分で待つべき時間及びその理由」を送信しなければならない。
とあります。これに対して今日の問題では、
「10分後でなければ」と「以上」の文字がありません。私は見直しの時に思わず、
「おー、ひっかけだ!確か要点マスターの例題では『10分を超える場合』は理由も言わなければならない』けれども今日の問題は 10分ピッタリだから理由は不要だ!危ない危ない..」
と一旦 "1" を選んでいたのにわざわざ「その理由」のない "4" に修正してしまいました。
でもよく考えてみると、AS に続けて送るのは「分で表す概略の待つべき時間」ですし、「要点マスター」にも「10分以上」と書いてあり「10分を超える」とは書いていないので、やはり "1" が正解のようです。
まぁ、法規だけでも 5問まで間違えてもセーフなので大勢には影響しないと高を括っていますが。
と言うわけで、来週の合格の連絡を待つと共に、無線工学でいくつか「要点マスター」では納得が十分えられなかった部分を再点検して次回まとめようと思います。