KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

ゆるくアマチュア無線 - JARD アマチュア無線技士養成課程を終えたら国家試験も軽く合格できるか?

昨年末申し込んだ JARD 主催のアマチュア無線技士養成課程(2アマeラーニング2022年1月期)の修了試験を受けてきました。もちろん十分な手応えはあるのですが、結果は一週間後に郵送とメールでおしらせと言うことなので、受講の結果や感想は別途ちゃんと合格を確認してから書こうと思います。

但し、一つだけ今でなければ確認できないことをやっておこうと思い、その結果を残しておこうと思います。それは、
eラーニング受講で国家試験合格レベルの実力がちゃんとついたか?
と言うことです。

(以下、統一はできていませんが、「養成課程」 = 「e ラーニング」、とお考えください。JARD のサイトでも一貫した使い方はしていないようです。)

養成課程を終える = 修了試験合格 と考えると

軽く JARD の「第二級アマチュア無線技士養成課程」受講の流れを確認しておくと、テキストや講義の映像を見ながら自分で勉強して、各章ごとにある「演習問題」、「中間試験」を経て(ここまでは自宅でオンラインで何回でも行える)、「判定試験」(自宅オンラインで一度だけ実施)、CBTS の会場で行う「修了試験」を経てアマチュア無線技士の資格(第三級もしくは第二級)を得られるものです。一般に行われる国家試験を受けなくても良い代わりに、(お金を払って)この流れをクリアできれば良いことになっています。ですので実質的に
修了試験合格 ≒ 国家試験合格 と言う同じ結果(免許)を得られるものです。
その比較が気になる人もいるでしょうし、私が JARD の e ラーニングについて調べているときに読んだブログにも マナブ@JN1SUT さんが比較をしていたのも読んだ記憶があります。

blog.livedoor.jp

まさに、その意味でまさに自ら
修了試験に (たぶん) 合格した直後に国家試験の問題を解いてみる
と言うことにチャンレンジしてみました。

e ラーニングの高い合格率

JARD 養成課程(eラーニング)の謳い文句には

平成29年度の修了率(合格者/受講者)は 78%、合格率は(合格者/失格者を除く受講者)は 97%となっています。

平成29年度における二アマ養成課程の実施状況」より

とあり、国試の 40-50% に比べると遥かに高い合格率を誇っています。

まぁ、基本的に国試受験料*1より高い受講料*2をとっているわけですから、国試受験より合格率が低かったら誰もそんなものに金を出すわけがないので、高い合格率の対価として成り立っていると考えられます。ではその高い合格率は何によってもたらされているのか?コンテンツの内容が例えば市販本より素晴らしく良質であるか、映像の講義が素晴らしいのか、試験対策が素晴らしいのか、はたまた修了試験が易しいのか、など気になる人もいると思います。ですので、一通りの養成課程を終え(判定試験に合格して)さらに修了試験を終えた「今」最新の国試を受験したらどうなるか?を試しておこうと思いました。

実際に国試の問題を解いてみる

具体的には私が実際に解いたことのない国試の問題(2021/12)を解いてその結果を確認/比較してみようと思います。
国試の問題と回答は日本無線協会のホームページで公開されています。)
一応補足しておくと、e ラーニング受講期間中はコースで提供されている以外の問題(例えば国試の過去問や他の問題集)に手を出す余裕はなかったので、幸か不幸か国試問題を解くのは初めてです。

確認のポイントは、
1. 得点
2. 自力国家試験と養成課程の問題の難易度

の二点を比較してみようと思います。

自己採点結果は?

修了試験は分からない問題は無く、全ての問題を自分なりの納得のもと回答しています。もちろん点数は非公開なので正確には分かりませんが、ざっくり 90% は軽く超えているはずです。
一方、国試の自己採点結果は ???

法規:111/150点(74%, OK)、無線工学:82/125点(66%, NG) → 不合格😭!
(法規、無線工学の双方とも 70%を超えないと合格にはならない)

と言う我ながら残念な結果でした。
(ラジオ聴きながら解いたとか見直しをしなかったとか多少の言い訳はありますが...)

問題の難易度の差は?

ではその得点差の原因はなんでしょうか? これはなかなか難しい問題ですが、法規はともかく特に無線工学は「e ラーニング受講者にとって」と言う前提をつけると修了試験の方が国試よりある程度易しいです。
その理由の一つ目は少なくとも私が受講した修了試験のパターンでは(修了試験に何パターンあるか知りませんが) e ラーニングのコースの中にある各種テスト(演習問題、中間試験、判定試験)の全問題の中からある程度のバリエーションをつけて修了試験問題となっていたからです。問題が手元には残っていないので正確には断定できませんが、全くの新問題(例えば新しい回路の問題)などは無かったと思います。つまりコース中の繰り返しトライできる演習/中間試験の約 200問くらいをバッチリ解けるようにしておけば、修了試験はほぼ 100% 解けるような問題構成でした。しかし国試の問題を解いてみると e ラーニングの試験ではみたことのないパターンの問題がいくつもありました。例えば法規でも国試で出てきた「宇宙局」は問題に出たことはありません。無線工学でもバイアス回路の問題やピアース BE 水晶発振回路の問題も出たことはありません。宇宙局や宇宙無線通信業務を知らなくても正解を見分けることはできましたが、バイアス回路はテキストにも無かったのでは?と思います。
もちろん国試にも過去問パターンはある程度決まっているでしょうし、逆に修了試験にあっても国試には出題されていないものもあるかもしれません(いや、多分ないな)。

また二つ目の理由として、問題自体が修了試験の方がやや簡単であった点がいくつかありそうです。回路図を基にした問題が修了試験では計算問題 1問しか無かったような気がしますが、国試では回路図を基にした問題は 7問ありました(計算問題ではない穴埋めも含む)。 あとモールス信号からみも、文字数が修了試験は国試より短いですし、決まった文字列しか出ていないようですから山を張る人にとっては簡単と言って仕舞えば簡単だと思います。

もちろん大きな目で見れば、e ラーニングを受講したことがない一般の国試受験者からみても、そう著しく差のあるものではないとは思いますが、出題の傾向には差があるのが実情でしょう。

合格基準は違う

これは問題の内容とは別の話ですし、これに救ってもらうのはよっぽど手を抜いた時だけだとは思いますが、
合格基準が 70% v.s. 60%
と言う設定もありますので、「合格のし易さ」は修了試験の方が容易であることは間違い無いですね。

私の結論 -勉強の取り組み方次第だが

もちろん e ラーニングのテキストには一級レベルの説明もあったりしてそれなりにレベルは高いと思いますので、「テキストを基にしっかり勉強する」ことをすれば「eラーニング受講で国家試験合格レベルの実力はちゃんと得られる。」のは間違いないと思います。 しかし「隅々まで理解する」と言うことと「合格する」と言うことは必ずしも同じではないので、「合格して二級の免許を得る」のが第一の目標であれば、 e ラーニングは近道になることは間違いないと思いましたし、対価を支払う価値もあると思いました。

私自身、最初は「テキストを読み込んでしっかり内容をマスター (理解) しよう!」と意気込んで始めたのですが、途中で「やっぱりさっさと合格しておこう」と方針転換しました(この辺りはいずれまとめようと思います)。なので、最終的な結論としては、
私の場合は「さっさと合格する」ことを最大の目標に設定したので、養成課程を終えても国家試験も軽く合格できるレベルにはならなかった
と言うのが結論でした。

*1:7,863円(無線従事者免許申請手数料は含まない。テキストや問題集は別途購入する必要がある。)

*2:45,550円(無線従事者免許申請手数料を含む。当然テキストや各種オンライン試験代も含む。)