KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

横領犯の身元保証人として損害賠償請求を受け裁判になった話 (4) やはり弁護士に相談しよう - 経験とバックグラウンドがないと交渉はできない

一言。もちろんお金はかかりますが、プロに任せてよかった、と思います。 お金がかかる、とは言っても X 社の「十分な説明は後回しで先ずは言いなりに支払ってくれ」に丸め込まれるよりはずっと良かったです。
自分が支払った金額も大切ですが、何より自分の主張を合理的(社会で通じるロジック)に整理しそれを主張することができた、という事にとても満足しています。

やっぱり弁護士のアドバイスが欲しい

弁護士に相談したのは前回書いたように被害者を最初に尋ねて話を聞いた直後でした。
逆に言えば弁護士へ相談などする前にまず被害者とファーストコンタクトを取りましたが、これはこれでよかったと思います。何が起こったのかを少なくとも被害者自身の主張として直接聞くことが大前提となるからです。
もっともこの頃私への請求は当然出てくるだろうけれどもさすがに全額は無いだろう考えていました。A 本人は当然自分で認めた金額については支払うべきでしょうけれども、常識的に考えても「私が全額負担か?」というのはどうなのかと思っていました。
顧客から預かった現金を会社に入金せずに自分のポケットに入れた
ということが事実だとしても、今どきの企業であればそう簡単にそれを繰り返すことは難しいはずなので(当然会社が現金の管理は行っているはずなので)、何か会社側にも甘いところがあったのではないかと考えていました。ただそれは漠然とそう思うだけで、少なくとも X社との面談でそれを切り出す勇気はありませんでした。
そんなモヤモヤを解消し法律を正しく理解しておきたいと思い、被害者側の主張を一旦聞いた上で速やかに弁護士のアドバイスをもらうことにしました。

法律相談ができるところは?

ところで私に弁護士の知り合いがいるわけではないので、何らかの手段で弁護士にコンタクトする必要があります。流石に個別の弁護士事務所を直接尋ねるのも気が引けるので、法律相談ができる公的な窓口があるのではないかと思って探しました。 この文章を書くにあたって軽く調べ直してみましたが、今でも私が当時調べた時と同じ状況のようで、大きく分けると国が運営する窓口弁護士会が運営する窓口の二種類があり、それぞれ全国に何箇所も物理的な窓口があります。

「法テラス」・・・国が設立

法テラスは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。
この文言は法テラスのホームページのトップに書かれているものです。 www.houterasu.or.jp. 法テラスは私はこの時調べるまで知りませんでしたが、コロナ禍で不当に職を失うなどの人に対してテレビなどで紹介される事もあり、もしかしたら耳にしたことある方は多いのでは無いかと思います。
法テラスでは、収入・資産等が一定以下の方を対象に、無料の法律相談を実施しています。
言葉を選ばないで表現すると、法テラスは国が弱者のために設置した窓口なのだな、というのが私の理解です。ちなみに Google で法律相談の検索をしたからなのか、私の Twitter のタイムラインに毎日法テラスの宣伝が出てくるようになったので、皆さんの中にも目にされた方はいるかもしれません。

Twitter に流れてくる法テラスのプロモーション

「法律相談センター」・・・弁護士会が運営

こちらは弁護士会が運営する相談所で、全国に設置されているようです。

www.nichibenren.or.jp

私がお世話になったのは東京の「法律相談センター」で、都内に10箇所くらい設置されているようです。 www.horitsu-sodan.jp
いつでも、だれでも安心して相談できる窓口
家庭の問題や債務整理、労働問題などひとりで悩まず、弁護士にご相談ください。

こちらも一般人が法律関連で困った場合に相談できる窓口であることを謳っています。

法律相談センターのサイトから転載
なお、法テラスと異なりこちらは有料です。私が利用したところでは ¥5,000/30分 (税別) でした。

私は法律相談センターへ

当時私はまだサラリーマンだったので収入はあったこと、法律相談センターは私の家から比較的近くにもあることから法律相談センターにしました。もちろん ¥5,000/30分 という金額は安くはありませんが、正しい対応をしていくための岐路に立たされている私にとっては、自分の請求されている金額から考えれば大した金額ではないはずです。
30分を最大限に有効活用するために、状況をできるだけ簡潔にかつ確実に理解してもらえるよう登場人物やクロノロジーを図にまとめまて相談に臨みました。

実際の相談

二人の弁護士が話を聞いてアドバイスしてくれる

事前にセンターに電話してアポを取ってから相談に行ったと思います。アポの段階か実際にセンターについて最初に手続きをした時か忘れましたが、大まかに「刑事事件」「家庭問題」「債務整理」などといった区分けを聞かれます。Aのやった横領自体は刑事事件ですが、私がやったわけでは無いので「その他」に該当するような「一般相談」を選んだと思います。先に相談料金を支払って少しだけ待つと相談室に通されます。
2名弁護士が待っており、まず私の説明を聞いてくれます。この時点で彼らは初めて私の相談内容を知ることになります。一人は若い方でこの方が私の説明がうまくできるように質問を混ぜながらリードして対応してくれたと思います。 もう一人は私と同じくらいの年配の方で、相談室では椅子をずらして少し若い方より後ろに座っており、六法全書をパラパラとめくって若い方に「これだよ」という感じで示したりしいたので、どうやら若い方はまだインターン中?といった感じでした。

私に対するアドバイスのポイントは

弁護士からのアドバイスのポイントは前回書きましたが、大枠は「身元保証に関する法律」と言う法律があること保証人としての責任は逃れられないこと(少なくとも私の場合は)、裁判になればその法律をもとに損害賠償額はいろいろな事情を考慮されることで、そうそう被害額の全額を支払わなければならないケースはあまり無いこと、より本質的な話としては、被害額の算定」と「責任に応じた支払額の按分」で交渉が進められるということを知りました。
相談に行く前の私は(多分誰でも同じ立場に置かれたらそうだと思いますが)
「被害者側からの請求にいくら位までなら支払えるかなぁ?」
と言った自分の懐具合のことばかり考えていたので、この話を聞いて少し冷静さを取り戻せたのではないかと思います。

契約〜早速明らかになった X 社のウソ

委任契約

2回目の訪問で被害の整理もされないまま私に「被害額全額」の支払いだけ求めてくる被害者に対する不信が募った私はすぐに弁護士と契約しようと考えました。まだ確定していないけれども X社のいう金額全額を支払う合意をしてくれ、という主張に付き合っていてはダメだと。
連絡したのは相談の際に若手の後ろにいた年配の弁護士。正直言って「この人に是非お願いしたい!」という確信は持てないままではありました。一度しか会っていないし、仮にその弁護士の実績などを紹介されたとしてもそれがどれだけの価値のある活動実績なのかなど素人にはなかなか解りません。決して愛想は良い方では無いのですが(ごめんなさい!)事実に基づきクールに進めるのだろうな、という印象だけで決めたようなものです。
実際の契約は弁護士の事務所を訪ね、再度状況をお互い確認した上で委任契約を結びました。
(全く事件、裁判と関係ないのですが、IT の仕事をしている際お客様と契約するにあたり、委任という契約形態でした。一応会社の教育で委任契約は弁護士の場合のみということを聞いてはいたので、「これが本物の委任契約なんだ!」と思った記憶があります。)

これ以降委任契約に基づき私の弁護士は X 社に対して「書面による主張と証拠資料」を求めるとともに、「委任契約に基づき連絡等は全て弁護士に」と X 社に通知してくれました。それ以降私は直接被害者と接することは無くなりました。

少々細かいことを追加しておくと、この委任契約に基づく活動の後、被害者側から訴状が出されましたので、その時点で訴訟委任状を元に再度委任契約を結びました。

弁護士に相談しないと分からなかった - 相手の「弁護士の説明によると」自体が嘘だった

この一連のブログは、被害者の主張やそれに対する私の反論を詳細に明らかにするものではなく、このような状況に陥ってしまった際に私にはどんなことが起こったのか?を概要レベルで整理しておくのが目的なので、あまり深入りはしないようにしています。しかし一点だけこの時点で、確実に「あぁ、専門家に相談してよかった!」と思ったことを書いておきます。それは前回も紹介しましたが 2回目の被害者の会社を訪問して私の支払い合意書の説明を受けた内容の一つでした。

会社側の説明では弁護士のアドバイスのもと進めていると前置きした上で、身元保証人は元々二人いた一人目の A の父親が他界したので残された母親が身元保証人の責務も相続しているから私と A の母親に支払いの責任があるという前提で話を進めています。

私は「身元保証人の立場 (債務) も相続の対象だと (被害者の) 弁護士が説明した」ということに何の疑いも持っていませんでした。一般にプラスの資産だけではなく負債も相続対象だというのは常識だと思いっていたのです。
しかし、これに関しては判例に基づき「身元保証人の相続人は身元保証人の地位を承継しない」とされているようです。これは「大判昭和18年9月10日民集22巻948頁)」をキーワードにして検索しても何件もヒットします。また一般的な遺産相続に関する解説記事でも引用されている話なのでプロである弁護士が間違えることはないはずです。そう考えると、被害者の弁護士がそれを知らないで被害者にアドバイスしたのか、もしくはその点に関しては弁護士のアドバイスはなかったのにも関わらず X社の誰かが意図的にそのような主張に基づく合意書ドラフトを作成して私に説明をしたのか分かりません。が、私としては
X社が『弁護士のアドバイスに基づいて対応した』とする内容は信頼できないものである
つまり
X社の主張を鵜呑みにしてはいけない
ということを強く強く認識したのでした。
遺産分割の対象となる「財産の範囲」をどう捉えるか? | 幻冬舎ゴールドオンライン

このことを知った私は 弁護士と契約してよかったと痛感し、X社の主張は疑ってかからないとならないと肝に銘じました。そしてその後バインダー何冊にもなる訴状、証拠書類、準備書面等、出てくる資料は本当に気合を入れて自分の目で読み確認しました。そんな目を持って読み解くと、資料の厚さの割には中身は雑な主張であること、つまり A の悪事は悪事ですがそれに全く気づかない X社の業務管理自体もかなり杜撰であってことを確信することができました(もちろん私だけではなく私の弁護士もですが)。

弁護士費用は?

ざっくり言うと、経済的利益に対する一定の割合が報酬として支払う事になります。例えば 1億円の請求に対して 9,900万円支払うことになったのならば 100万円の経済的利益しか得た事になりませんが、1,000万円の支払いで済む事になれば 9,000万円の経済的利益を得た事になりますので、弁護士への報酬金の絶対額は増える仕組みです。 私の場合は「全額支払え」という原告の主張に対して原告への支払いを圧倒的に削減できたので契約の範囲では経済的利益をほぼ最大化できたので報酬も増えましたが、もちろんトータルの支払額は大きく減ったので報酬が高いと感じたことはありません。

なお、実際は着手金もありますし、複雑な設定になっていますので利用さる際には十分確認するようにしてください。


ということで、弁護士に関する思い出せるポイントはポイントは一通り挙げることが出来たと思いますので、次は「裁判」に関する経験をまとめたいと思います。

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