KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

ゆるく電気・電子工作 - ソフトウェアラジオ (Pico Stack SDR) を作ってみる - 概要編(アマチュア無線試験勉強の気分転換に!)

アマチュア無線の試験勉強の最中に、ネット情報や YouTube で色々勉強?していたことは以前軽く触れましたが、今回はその中の一つの YouTube チャンネルで連載されているSDR (ソフトウェアラジオ)の製作にチャレンジしてみたというお話しです。
無事ちゃんと動くラジオを作ることはできましたが、パーツをネット購入するにしてもプリント基板を製作するにしても、出来たとはいえ素人の一般常識は通じない世界を体験することもできました。

今回は、私の作った "Pico Stack SDR" に関する基本的な情報と、少し脱線しますが私が YouTube で楽しんだ Digi-Key 社のチャンネルなどを中心にご紹介します。
実際に組み立てを始めるまでに必要なパーツの調達と基盤の製作などのお話、そして実際の組み立てに関する経験談などは別途ご紹介予定です。

Pico Stack SDR とは?

一言で言うと、別府伸耕さんが製作のために必要なデータを公開している SDR (Software Defined Radio) の名称です。"SDR" 自体は平たく言えばアナログ回路の塊にコンピュータのデジタル処理を大幅に取り込んだ無線機、ということですね。コンピュータ(今回の例で言えば Raspberry Pi Pico) というハードウェアを組み合わせたのに「何故 HDR (Hardware Defined Radio)と言わないのか?」とも思いますが、プログラムというソフトウェアがコンピュータで動作してかつてのアナログ回路の役割の一部を自在に制御できるからなのでしょう。

"Pico Stack SDR" の名前の由来は、Raspberry Pi Pico と言う安価なマイコンを中心としたデジタル回路基盤と従来のアナログ回路基盤を重ねて (Stack) 動作させる手作り SDR と言うのが名前の由来のようです。
"Pico Stack SDR" の詳細はもう少し後で説明しますが、少し寄り道して1アマ試験勉強に役立った? YouTube チャンネルの話を先にご紹介します。

「Digi-Key日本公式チャンネル」

"Pico Stack SDR" 自体は Digi-Key 社という電子部品販売会社が提供している YouTube チャンネルの一つのシリーズで取り上げられています。ここで "Pico Stack SDR" を前提としたシリーズを別府さんが発信しているのです。

www.youtube.com

Digi-Key日本公式チャンネルのおすすめシリーズは

Digi-Key日本公式チャンネルにはいくつかのシリーズがあり、このあと説明する別府さんの「高校数学からはじめるソフトウェア無線 超入門」以外にもイチケンさんとのコラボシリーズや「【ゼロから学ぶDC/DCコンバータ基礎講座 第1章 原理編】」なんてシリーズのもあり、アマチュア無線の試験勉強期間に気分転換も兼ねて試聴していました。内容は1アマ無線工学の範囲は超えたものも多いですが、その端々に基本的な解説も出てきますし、無線の教科書やサイトとは一味違った説明があったりするので、試験勉強の気分転換になると思います。

【イチケン特典映像付き】インダクタ(コイル)の原理を解説!キャパシタと比較も!〜イチケンスペシャル〜 - YouTube

第1回「DC/DCコンバータとは何ものだ」〜第1章 原理編 ゼロから学ぶDC/DCコンバータ基礎講座〜 - YouTube

「~ 高校数学からはじめるソフトウェア無線 超入門 ~ <設計データ付き>」

さて、"Pico Stack SDR" を説明しているこのシリーズは別府 伸耕(Nobuyasu Beppu)さんが熱く解説しているシリーズで、第一回が「電子回路は「通信機」のために生まれた」と言うアマチュア無線の無線工学を勉強している人なら「おー!」となりそうなオープニングから始まります。

youtu.be

実は私がこの文章を書いている 2022年 6月でもこのシリーズ(全20回)はまだ完結しておらず、私の1アマ試験勉強中にはちょうど第1回から第6回あたりの話をしていたと思います。

第1回 電子回路は「通信機」のために生まれた
第2回 多人数で同時に通信するための「多元接続」
第3回 すべての通信機の基本「スーパー・ヘテロダイン方式
第4回 通信の速さを決める「ベースバンド帯域幅」
第5回 最先端の通信機 “SDR” のしくみ
第6回 SDR自作キット “Pico Stack SDR” の紹介

シリーズの後半は数学に寄っていくのですが、最初の 6回のタイトルを見るとアマチュア無線を勉強している人なら「おおー、面白そう!」と惹き込まれそうでしょう。
その第5回 で SDR の一般論、第6回で今回私が手作りしてみた “Pico Stack SDR” の解説があります。

youtu.be

この動画シリーズで強調されていると私が思ったポイントを 2 つ挙げておきます。

  1. 電子回路の歴史は通信記述の歴史

  2. エンジニアリングの中心は数学

ですので「第6回で製作物を見せておいて、そこの設計用いられている数学の解説をその後の回で分かりやすく展開する」と言う流れのようです。
正直、1アマ程度の三角関数や複素数程度であればなんとか食らいついていこう!と自分を鼓舞することもできますが、後々出てくる微分、オイラーの公式、フーリエ級数などという単語を目にすると少々気後れしてしまうのも事実です。そんな私でもとりあえず “Pico Stack SDR” と言うアウトプットを自分の手で作ってみることは可能でしたので、私のようにあまり大上段に構えないで手をつけてみるのも良いのではないでしょうか。

肝心の "Pico Stack SDR" はどんなもの?

少々寄り道をしてここまで辿り着きました。 "Pico Stack SDR" も詳しくは上で紹介した別府さんの第6回の熱い解説を見ていただきたいのですが、ここでは一部だけ動画と共に公開されているプレゼン資料から引用させていただき、雰囲気だけご紹介します。
(動画だけではなくプレゼン資料もダウンロードできます!)

digi-keyチャンネル「SDR自作キット “Pico Stack SDR” の紹介」より

digi-keyチャンネル「SDR自作キット “Pico Stack SDR” の紹介」より

digi-keyチャンネル「SDR自作キット “Pico Stack SDR” の紹介」より

わかる人にはこれで十分なのでしょうし、初心者の私が解説できるレベルではありませんが、初心者向けの補足を加えておきます。

  • AM のみのラジオです。
  • アナログ回路の設計に関する詳細な解説は見当たりませんでした。しかし作れます。
  • Praspberry Pi Pico で稼働するソースコードが公開されており、このシリーズの後半ではそこで用いられている数学理論の説明が中心となっているようです。ちなみに実行可能モジュール (".uf2" ファイル) も提供されていますので、ソールの内容の理解やコンパイル環境が無くても動くものは作れます。
  • 簡単に動いてしまうのですが、別府さんの本意は数学理論と合わせてチラッとソースコードも見てね!ということだと思います。
これがコイル? 試験勉強に出てきたショットキーダイオードやオペアンプも使う!

当然電子工作なので、アナログ/デジタルとも色々なパーツを組み立てることになります。フロントエンドの RF 部分(スーパーヘテロダインの初段)はアナログラジオなのですが、アマチュア無線の無線工学でたっぷり?勉強した RLC も当然出てきます。 R と C はそこそこの本数が使われていましたが、 L (コイル/インダクタ) はたった一つだけでした。しかも試験テキストや問題のイラストに出てきた電線ぐるぐる巻きタイプのものではなく、一見「太った抵抗」に見えてしまうアキシャルリードタイプが一つだけあっただけでした。

Digi-Key の商品説明ページより転載(77F102J-TR-RC)

1級の試験で必ず登場するショットキーダイオードや、オペアンプなどはちゃんと登場し、「おーこれが本物だ!」と小さな感激を得られました。

はんだ付けはさほど難しくない

はんだ付けはさほど難しくないし、量も驚くほどではありません。上の写真に写っている二つのボードに載っているパーツが全てです。
もちろん私自身も大したはんだ付けスキルを持っているわけではなく、子供の頃ちょっと工作をしたとか、アマチュア無線のアンテナと同軸ケーブル、コネクタのはんだ付けをした以外は以前紹介したこれで練習した程度です。

blog0.kurikumachan.com

「山崎教育システムの エコキューブラジオ 3」や「 IoT 学習 HATキット」の時よりははんだ付け箇所は多いので、ちょっとだけ腕が上がった(?)と思いますが、相変わらず芋ハンダになることも多かったですが、それでショートしてしまうようなことなくなんとかなったようです。

製作に必要なデータは公開されている

はんだ付けの話にいってしまいましたが、それを始める前にパーツや基盤を調達しなければなりません。パーツは市販品なので型番や仕様が資料に記載されているのでなんとかなるだろうわかります。しかし、"Pico Stack SDR" 用の基盤自体は販売していません(基盤もキットにして販売しているものもあり、それは最後にリンクを貼っておきます)。売っていないものをどうやって調達するかというと、「"Pico Stack SDR" 用の基盤」を作ってもらうのです。

制作に必要な部品一覧だけでは無く、プリント基板製作発注のためのデータもダウンロードできるので、自分で何かしらの設計をする必要はありません。しかし、そのデータファイルを提示して「作ってください!」と言わなければなりません。そんなことしたことはなかったので、実はここが一番緊張したところかもしれません。

【提供されるデータ類】

(1)回路図
(2)基板製作用データ
(3)部品表
(4)組み立てマニュアル
(5)使い方マニュアル
(6)プログラム・ソース.

自分でやってみよう!

と言うことで、今回は "Pico Stack SDR" とその周辺をご紹介しました。 実は1アマの試験勉強中に気分転換に刺激を求めて一部発注をしたのですが、中途半端なまま中断し放置していました。今回少し気合を入れ紆余曲折があっても調達を完了し、逆に製作は一気に進めることができました。
このあと発注関連、製作関連のお話をまとめる予定なので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。詳細なデータは上に引用してある YouTube の詳細欄にびっちり情報が記載されています!
「いやいや、お金には糸目つけないので楽にできる方法があれば自分は製作に集中したい!」という方には割高ですが自分でパーツや基板の発注なしにオールインワンで購入できる本当のキットもあるようですのでそちらも検討されてはいかがでしょうか?

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