KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

今さらだけど BS テレビ放送を視聴できるようにした - CATV案は却下

今さらだけれど NHK BS も見てみたくなったので、現状の地デジ波視聴環境を考慮しながら色々と BS 受信方法を悩んだ挙句、結局 BS アンテナを建てた、というお話です。
結論はありふれた対応となりましたが、そこに辿り着くまで以前から自宅のケーブルテレビ (CATV) 環境をなんとかしたいと思いもあり、将来的な CATV との付き合い方についても考えてみました。


我が家のテレビ視聴環境

大昔からテレビは CATV

私の住んでいる地域は都内ですが、昔々新宿副都心(今ではもう死語だと思いますが)の開発に伴う高層ビル建築によって、当時は東京タワーから発射されていたアナログテレビ放送の電波が遮られ、広く一体が難視聴地域となってしまいました。その解決のために地元に CATV 会社が作られ、みなテレビアンテナを立てることなく CATV に加入することになったようです。
この辺りの歴史は「一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟」の「2022 ケーブルテレビ 業界レポート」に以下のように記載されていました。

(1)ケーブルテレビとは
ケーブルテレビは、地上波テレビ放送の難視聴地域の解消を目的として、1955年に群馬県の伊香保で共同受信実験を行ったのがはじまりです。サービスを提供する地域に、光ファイバーケーブルや同軸ケーブルを敷設して、ケーブルテレビ局のセンターと地域内の家庭を一軒一軒ケーブルで結び、放送サービスや通信サービスを始めとする多様なサービスを提供しています。

上記の組織や資料はあくまでも CATV 会社側の視点ですが、視聴者から見た具体的な仕組みや課題は私が検索した範囲ではだいぶ古いサイトですが「ボクにもわかる地上デジタル」という個人がいろいろなテーマに基づき運用されているサイトにある「ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ導入編 CATV(ケーブルテレビ)」によくまとまれれていました。 bokunimo.net

地デジと共に CATV は必須ではなくなったけれど

2003年(20年前!)スカイツリーからの電波によって地デジ放送がはじまったため、東京タワーからのアナログ放送が受信できない、ということ自体は問題ではなくなりましたが、地域の CATV はそのまま残りました。当時のことは私は直接タッチしていませんでしたが、おそらく

「わざわざ新しく地デジ用に新たにアンテナ建てるの大変じゃない?せっかく各家庭にケーブル引いてあるのだから、そこに地デジの電波を流してもらえれば各家庭はテレビ(チューナー)だけへ買い換えればいいじゃん!」

という話になって地デジは「同一周波数パススルー方式」で既存のアナログ波用の同軸ケーブルを流用してそのまま地デジ波を配信することになったようです。
ただし、それまで無料だった地上波視聴に関わる CATV 利用が有償化され月々 数百円程度徴収されるようになりました。

そういった環境のもとで、BS は見ず地上波のみしか視聴していなかったのですが、今更新たに BS を視聴したくなりました。ところがそのためにどうするか?この手の話は嫌いでは無いのですが、結構悩みました。本当は地デジ環境からすっかりゼロから見直せば(アンテナや宅内配線から新規に行えば)良いのかもしれませんが、あまりコストをかけないで... というのが大前提(制約)としながらいろいろ悩みました。

以下、おおよそ自分で悩んで調べた順番に書いてみました。

BS 受信方法の検討

1. 【CATV】 - 地デジ波はパススルーだけれど BS では STB が不可欠

地デジはパススルーなので STB 不要

地デジは CATV では「同一周波数パススルー」という方法で配信されているそうなので、TVチューナーもしくは DVD レコーダーのチューナーがあれば視聴も録画もできています。

knowledge.support.sony.jp

同軸ケーブルの CATV では BS のパススルーはできない

一時期 CATV 会社のセールスの口車に乗って有料放送のセットトップボックス (STB;専用チューナーと録画用 HDD の一体機) を使っていたこともあるのですが、扱いがめんどくさすぎるのとそんれほど有料チャンネルを見ることもないので解約し STB も撤去してもらっていました。
そんな経験があるので多分ダメとはわかっていながら、一応 CATV 会社に「BS も見たいのだけれど可能か?」と問い合わせると、結局は相変わらず STB が必要だし、「BS だけ提供するメニューは無い」(最低限他に電話も契約してほしい) とのことだったのでこの CATV 会社は当てにしないことにしました。(問い合わせ窓口に電話してからこの結論がわかるまで2日かかった...)

私は CATV 会社がわざわざ BS 電波を無料で見せないために STB 経由にしているのかと思っていましたが、どうやら同軸ケーブルでの有線放送においては技術的な制約でやむなくトランスレーションして STB を使わざるを得なかったようです。

7月11日発表
 総務省は、BSデジタル放送のパススルー伝送やH.264方式の符号化などを含む有線テレビジョン放送施行規則の一部改正を実施する。8月上旬に官報で公布、10月1日付で施行される。

 現在のケーブルテレビ(CATV)では、同軸ケーブルの伝送帯域が90MHz~770MHzと定められており、BSデジタル放送をそのまま伝送(パススルー)できず、CATV局で周波数や変調方式を変更する「トランスモジュレーション方式」が利用されている。そのため、CATV経由でBSデジタル放送を視聴する際には、CATV局が提供する専用のSTBが必要となっていた。

 今回の改正により、FTTHなどを用いて家屋まで広帯域伝送路が整備されているCATV加入者宅において、専用のSTBを利用することなく、テレビのBSデジタルチューナを利用して、BSデジタル放送を受信可能となる。

CATVでBSデジタルのパススルー伝送が可能に

では光 (FTTH) の CATV では BS パススルーはあるの?と思って調べたらちゃんとありました。

北関東の「ケーブルテレビ株式会社」のホームページより
が、いずれにしても私の家を対象地域とした CATV では利用できないし、「今さら CATV か?」と言う思いもあり CATV の検討を中止しました。

2. 【ネット】「ひかりテレビ」と「フレッツテレビ」 - STB は使いたく無い人は?

一応 FTTH の BS パススルー放送としては、CATV 会社ではなくともインターネット回線会社でも提供しているところはありました。 NTT 系のインターネットサービスの中でテレビ電波の配信の品揃えがあります。

フレッツ > フレッツ・テレビ > ひかりTVとの比較

NTT|フレッツ・テレビ[ひかりTVとフレッツ・テレビの比較]

「ひかりテレビ」と「フレッツテレビ」という似て非なる、かつどっちがどっちかすぐにわからなくなるサービスですが「フレッツテレビ」は STB 不要です。FTTF CATV 会社のサービスとおそらく仕組みは同じようなもので、いずれも BS も同一周波数パススルーになっているのでしょう。
私の知人にも「フレッツテレビ」利用者がいて快適そうなので惹かれるものもありましたが、以前フレッツを契約していた際、夜は「1Mbps 以下」という最悪のパフォーマンスに懲り懲りの私は、一応満足している NURO を解約してまで NTT 系の利用はしたくありません。

「ひかり TV for NURO」も STB が必要

調べてみると、NUTO にもテレビサービスがありましたが、やはり STB (チューナー) が必要ということなのでスルーすることにしました。

ひかり TV for NURO

よくあるご質問 | ひかりTV for NURO | NURO 光

3. 【BS アンテナ】 - 地デジとの宅内混合配線はできる?

ここまで来ると、BS の電波自体はアンテナを建てよう!と踏ん切りましたが、アンテナからテレビまでの配線をどうするか?言い換えれば現在の CATV で各部屋に配線してある宅内配線にアンテナ受信電波を混ぜられないか?と考えました。せっかくある配線なのですからそれを活用しない手はありません。しかし電気工事士アマチュア無線の範疇でも無いのでなかなかコレという結論に辿り着けません。本当は CATV 会社との相談だと思うのですが、CATV 会社は有料契約かスマホ回線でも売らんかなというスタンスが見え見えですし、そもそも BS パススルーの相談をした時もたらい回しにされた挙句二日かかってもテクニカルな話は誰も分からず単に「メニューの品揃えに BS のみのサービスはありません」としか答えられなかった会社なので、これ以上相談なんかしたくありません。
そこで、ネットで見つけた「A-PAB (一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)」の「新4K8K衛星放送コールセンター」に電話してみました。

www.apab.or.jp

ここでは CATV のコールセンターのように単にセールスの素人スタッフが応対するのではなく、テクニカルにわかる方が応対してくれます。その方いわく、
「既存の CATV から引いた宅内配線に混合配線することは可能です。ただし、CATV 側が禁止しているケースもあります。」
とのこと。どうやら CATV のケーブル側へ異常な電波が乗って近隣の CATV 視聴家庭に影響が出る可能性を否定できないということのようです。

結局はシンプルに BS アンテナからテレビ直結

念のためテレビの設定メニューで現状の CATV から来ている地デジ波のレベルを確認すると、標準よりかなり低いレベルとなっていました。現在視聴に問題はないですが今後ノイズが出たりした際に配線が BS と混合していると問題判別がすぐに出来ず、CATV 側に調整を依頼することができなくなる可能性が懸念されます。したし、冷静に考えると各部屋にテレビアンテナ端子を準備しているものの実際に家にテレビは一台しかない!ので、わざわざ難易度の高い混合配線をするまでもないことに気づきました(当たり前のことなのですが)。
よって、私が以前建てたアマチュア無線の GP アンテナのポールにごくごく普通に BS アンテナを設置し、リビングまで屋根の上を同軸を渡し、窓から隙間ケーブルで引き込むという単純な構成に落ち着きました。

2台目以降のテレビでは BS をどうするか?

ちなみに 2台目のテレビで BS を視聴したくなったらどうするか?も考えてみました。
一応 CATV からの地デジ波は各部屋に分岐してアンテナ端子も設置しているのですが、テレビ自体がそもそもリビングの 1台しかありません。私の作業部屋や寝室などでテレビが見たくなることはこの先も多分なさそうです。ただでさえ時間を YouTube をはじめとする動画配信サービスに蝕まれかけているのにそれ以上にテレビ放送を見る時間がそうそう増えるとも思いません。テレビ放送が見たければリビングで見れば良いのですから。
というわけで BS 視聴環境の拡張は考えなくても良いと結論づけました。

将来的な展望 - 現状の CATV とどうやって付き合っていくのか?

ところで地デジ波ではお世話になっているものの柔軟性のない CATV はどうしたものか悩ましいところではあります。

同軸 CATV (現契約) はそのまま塩漬け。付加契約はしない。

月額数百円の CATV 契約とはいえ、今からでも 2,3年分の支払いを考えれば地デジアンテナを導入しても軽くペイできそうです。BS の場合は GHz 帯ということで BS 衛星がビルの影に隠れていると受信は厳しそうですが、地上波であれば UHF 帯なのでアマチュア無線と同じでビル影だからといって全く視聴できないこともないでしょう。
ただ、「BS をどう視聴するか? → CATV をどうするか?」問題は過去を含めて結構な時間をかけて悩んできたこともあり、しばらくこれ以上の深入りをしたくないというのが本音です。(要はめんどくさくなった)ということで。「地上波の脱 CATV」は塩漬けにしておくことにしようと思います。

今後光回線 (FTTH) CATV も多分契約しない。

少なくとも現在の私にとっては、ケーブルテレビ会社のサービスは十分な価値を提供できていないと考えます。 「地域に根付いた」= 「地域のサービスを独占」
というのが CATV 各社の方向性のようですが、それが結果的に、

  • 企業としては:「競争がない」=「独自に価値を強化する動きが見られない」

  • 利用者としては:契約してしまうと放送だけではなく通信のロックインにも繋がる恐れがある

というあまり将来性を感じられないイメージにつながっているのでは無いでしょうか。
有線放送出身の U-NEXT が動画配信で頑張ろう!と動き始めているのですから、CATV 各社も地域に胡座をかいていないで気合を入れてもらいたいものです。