KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

おがさわら丸で Starlink を使ってみた

先月、初めての小笠原観光で竹芝から父島へ「おがさわら丸」を利用しました。 往復それぞれ 24時間かかる船旅です。 そこで初めて Starlink によるインターネット接続サービスが導入されたことを知りさっそく使ってみました(Starlink のサービスを使うこと自体が初めてでした) 。

通信品質は私が利用した範囲では十分で、YouTube や NHK+ も(低解像度でしたが)十分視聴できるものでした(たまに一瞬止まる程度)。 しかしサービス申し込み手順や実際の使い方にも思わぬ制約があったので書いておこうと思います。

小笠原海運のホームページに掲載されている「【お知らせ】おがさわら丸船内におけるStarlink(Wi-Fi)提供の有料サービスについて」」より

すっかり日本でも利用が広まっている様子の Starlink ですが、都市部に生活している分にはお世話になる機会がありません。 しかし乗用車の最近モデルでは標準で Starlink 用のアンテナが装備されているケースもあるようで、携帯圏外地域を想定した緊急通報サービスが無料で提供されていたり、車内での一般的なインターネット接続の利用が月額オプションで利用できたりとかなり身近に普及してきたようです。

"SUBARU STARLINK" スバルのサイトより。 2025/07/03時点の情報です。
www.subaru.jp

さらにおがさわら丸と同様のインターネット接続サービスは他のフェリーでも始まっているようで、新日本海フェリーでも同様のサービスが案内されていました(おがさわら丸の半額の 1,500円で! )。

洋上でも快適通信が実現! Starlinkを活用した「フェリーWi-Fi」有料サービス提供開始(らべんだあ・あざれあ・すずらん・すいせん)

さらに調べてみると、東海汽船のさるびあ丸の東海汽船ではなんと「無料」でサービスしているとのこと...

大型客船「さるびあ丸」「橘丸」衛星通信サービス「Starlink」の本格運用開始 2025.2.1~|東海汽船

ちなみに船内からの利用の仕組みとしては、一旦船内の wifi に接続した上で、その wifi 上にある申し込みサイト (おがさわら丸では "http://qr24.jp" ) から使用手続き/決済を完了した後にインターネットに接続できる仕組みになっているようです。

新日本海フェリーの資料に一部追記しています。

実際に使ってみる

今回の旅を計画した際には、おがさわら丸での航海中はインターネット接続は考えず、 iPad の Amazon Prime でオフライン視聴しようといくつか映画をダウンロードしてありました。Starlink のサービスは認識はしていたものの使うつもりは無かったのです。 しかしもともと新し物好きであることに加えて、竹芝を出港間も無く船内アナウンスで 「Starlink 利用の場合で決済時に本人確認を SMS で行う場合は、SMS (つまり携帯電波) が届く港/陸地からさほど離れていないうちに手続きを完了させておいてください。 」 と何回も繰り返されていて、なんだかそれを聞いているうちに「やるなら今しかない!」と謎のプレッシャーでを感じて申し込みに走ってしまいました。

想定外!の落とし穴

実際の通信品質は最初に書いたように十分なものでしたが、利用手続きを行う際や、使い勝手としては少々想定とは異なるものがありました。

落とし穴 1 - 「接続リンク」の QR コードをどうやって読む?

これは普段からスマホ操作の慣れていれば問題ないレベルのお話。
人によりますが、私は(多分多くの人も)このサービスを小笠原海運のホームページで知り、その情報をもとに(ブラウザを見ながら)使い始める人が多いのではないでしょうか。 そこにはこのページの先頭に載せた「接続 LINK」の QR コードや、より詳しい手順を記載した pdf ファイルなどが掲載されています。 このネット情報をブラウザで読みながら操作を進めていくと、つまりこの QRコード画像をスマホなどのブラウザで表示しながら実際に捜査を進めようとすると....

④ カメラを起動し QR コードスキャン

多分ここで一瞬戸惑ってしまうと思います。 ブラウザで表示している QR コードを読む方法はいくつかありますが、使い慣れていない人は「ブラウザで表示している QRコードをそのスマホのカメラでスキャンする」と言う点で「?」となる人も少なくないでしょう。 船内では案内カウンターに行けば(行く途中にも)このポスターがあちこちに貼ってあるので、ポスター上の QR コードをスマホ読めば一発なのですが、ネット上の案内にはもう少し初心者でもできる方法を載せておけば良いのになぁ、と思っていました。 ちなみに私はこのポスター画像は iPhone に保存してあったので、保存画像から QR コードを読みました。

落とし穴 2 - PayPay は支払操作の後に接続できないことがある!

これは最近多い SMS 認証に慣れていても、普段は意外と意識したことが無い盲点です。だからこそ船内アナウンスで何回も注意喚起されていたのですが、支払い時の SMS 認証で送られる SMS メッセージが、携帯圏外では受信できない、というお話です。 最近の PayPay では SMS 認証を別の方式にしていくようですが、今回私が利用した時点では SMS が用いられていたようです。 接続手順の中では、船内 Wifi の "OGM-Guest" 接続後に決済方法を選択するページがあり PayPay を選んだ場合、PayPay 支払処理の最後で本人確認として SMS メッセージがスマホに送られ、そのメッセージにレスポンスして初めてインターネット接続サービスが開始されるようです。
ですが船が携帯圏外にあるときには SMS メッセージを受信できないので、「PayPay 支払処理は行ったのに目的とするインターネット接続サービスは利用可能にならない」という状況が発生します(実際に発生しました)。

SMS 認証が完了しなくても一旦は料金が支払済みになってしまう。
しかし、数日後に支払済み金額は返金されていた。

私は PayPay 払い済みの 3000円を「ブログネタとして使った」と涙を飲んで諦め、今度はクレジットカード払いでサービスを使い始めました。クレジット会社との認証処理自体は Starlink 経由で外洋にいても行われるのだと理解しました。

ただし、冷静に考えれば本人認証が完了していないので、支払い処理は本人が認めていない訳で、後で(私の場合は小笠原から帰ってきて)払い戻しされていましたので、損はした訳ではありません

落とし穴 3 - スマホのテザリングは使用不可!

これは普段一つの回線契約を複数スマホで使うことに慣れている人が考えがちかもしれません。 私も申し込む際にあまり深く考えずに、 「iPhone でインターネット接続してテザリング (iPhone のインターネット共有) で大画面の iPad を使おう!」 と目論んでいたのですが、これはできませんでした。 よく考えればスマホでテザリングできるのは携帯キャリア接続時の場合であって、wifi 接続時にはインターネット共有は機能として使えませんでした。 私は目論見が外れて行きの船内では iPhone の小さな画面で朝ドラを見ることになりました。

落とし穴 4 - iPad の LINE でログインが出来ない!

最後は普段経験していることなのですが、「いまそうなるか! ?」と思ったこと。 復路の船内では最初から画面の大きな iPad で Starlink のインターネット接続を使っていました。 「絶対大画面の iPad で使った方が楽🎵」と思って... ところが意外な自体が発生しました。 航海途中で iPad の LINE がログアウトされてしまったのです。 スマホ以外の iPad や Mac でも LINE を使う際にはこれは「あるある」なことなので、その時は iPad や Mac から再度ログインし直さなければなりません。 このログアウトがおがさわら丸で iPad で LINE を使っているときに発生してしまったのです。
そこで何が起こるか?
と言うと、iPad で再度ログインするためには実は iPhone の LINE アプリを用いた認証操作が必要となるのです。
ところが船上では iPhone は圏外なので LINE は使えません。 こうなると iPad での再ログインはできません。 私は iPad が手元にあるなら LINE も iPad で操作したい派ではありますが、諦めるしかありませんでした。

高くて少々わかりにくいサービスだけれど...

他のフェリー航路では 1,500円/24時間だったり、 au ユーザーは無料、さらには最初から「無料」でサービスしているフェリー会社があることを考えると、おがさわら丸の 4,000円では高すぎるものではないかと思います。 今回は新し物好きということで利用しましたが、次回おがさわら丸を利用するときにこの値段だったらインターネット接続はキッパリ諦めて他の楽しみを準備すると思います。

大型客船「さるびあ丸」「橘丸」衛星通信サービス「Starlink」の本格運用開始 2025.2.1~|東海汽船

さらに、サービス開始当初だから仕方がない、とは思いますがユーザーへのガイドはアナウンスで補う必要がないだけの十分わかりやすい情報がホームページやポスターで公開されることを期待したいです。