KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

ゆるく電気・電子工作 - ガチの電子工作に挑む! - ソフトウェア・ラジオ 学習キット“Pico Stack SDR" [組み立て編] 多分作ってからが本番だけれども

さて、一通り部品が揃ったことを確認して組み立てに取り掛かります。 電子工作入門キットの類と異なり、パーツ袋の山を目の前にして緊張が高まります。しかし、落ち着いて作業すればちゃんと音が出るようになりました。

数学的な処理が間違っていたら「そもそも音が聞こえない」ので,信号処理の学習用としてはそれなりに意義があるのではないかと考えています.
(「“Pico Analog Board”使い方マニュアル 最終更新 :2021/12/4」より)

事前準備編

初心者なりに、作業する際にできるだけ考えることを最小に、かつ正確にするにはどうしたら良いかを考えてみました。

部品番号をパーツ袋のラベルに書く

マルツオンラインから送られてきた山盛りの袋入りのパーツを並べると、「最初に袋から出してしまったらきっと何が何だかわからなくなるな」と強い危機感を持ちました。袋にはパーツナンバーが印刷されていますが、それだと視認性が悪いので「組み立てマニュアル」に記載されている「部品番号」つまり、R1, R2, ... C1, C2,.. D1,D2, .. U1, U2,.. 等をパーツの存在確認も兼ねて袋に大きくマジック書きしました。

念の為測定できるものは練習がてら測定しながら

ついでに自分のテスタで測定できるものはチェックしながら組み立てを進めました。抵抗も色コードが私の目にはどうしても見分けしにくいし、テスタの機能確認にもなりますので、ダイオードも極性も確認しながら進めました。
コンデンサは毎回カソードマーク足の長さの違いを覚えられず、「どっちだっけ?」と確認しました。

組み立て編

組み立てマニュアルを見ながら「部品番号」を確認して作業を進めれば「配線を間違う」ことは無いと思います。組み立て段階で手こずったのは、自分のはんだ付けのスキルの低さが一番でした。それ以外には資料によって記述が違う部分があり戸惑うことがありました。

組み立ての概要(組み立て順序)- 二つある組み立てマニュアルのバージョン

前回紹介した YouTube Digi-Key 公式チャンネルの動画に掲載されいてる各種情報には組み立てマニュアルがディジタル基板とアナログ基板それぞれ別の資料に分かれています。一方、マルツのパーツ、基盤フルキットの紹介ページでは組み立てマニュアルは一つで、その内容としてはデジタル基盤を作成してその後アナログ基盤を作成することになっていました。

  • YouTube 説明欄掲載の組み立てマニュアル:最終更新:2021/11/28, デジアナ別ファイル
  • マルツオンライン掲載の組み立てマニュアル:最終更新:2022/4/1, デジアナ一体マニュアル

マルツオンライン掲載の方が新しいことと、YouTube 掲載の方だとデジタル基盤、アナログ基盤どちらから組み立てれば良いのかわからないので、私はマルツオンライン掲載の資料をもとに作業を進めました。これによるとデジタル基盤を先に組み立てるとなっていました。
実際にはどちらから先に作っても問題は無いことは後から分かりましたが、はんだ付けの作業量がデジタル基盤の方が少ないので、やっぱりデジタル基盤でウォーミングアップしてアナログ基盤に取り掛かるのが初心者には楽チンだったと思います。
しかし後で紹介しますが新しい方のマルツオンライン掲載の作業手順をそのまま行なうと手元のパーツとマニュアル掲載のパーツの仕様が一部異なる部分があり、かなり悩むことになりました。

はんだ付け

今回は「はんだ付けを沢山やった!」と満腹感を味わえるだけのはんだ付け箇所がありました。ただし入門キットではあまりなかった困難に遭遇しました。

基盤の表側にハンダが流れてしまう

裏面ではんだ付け作業をするわけですが、気がついたら表面にはんだの団子ができている箇所が結構ありました。恐らくはんだ付けの際ホールと足の余熱時間が長かったのが原因だと思います。また基盤の足を通す穴には太い穴と細い穴があり、太い穴に通す足が細い場合ははんだがどんどん表面に流れていってしまう箇所もありました。私のはんだ付けスキルのレベルとしては、常に反対側へのはんだの流れ出しをチェックする必要があるようです。

フラックスでベトベトに - コロナ対応で買った無水エタノールが役に立つ

多くの箇所をにフラックスをたっぷりつけてはんだ付けしていると、基盤の表面がかなりベトベトになってしまいました。これにはコロナ騒ぎの初めの頃、消毒用に買った無水エタノール(一般の消毒用と異なり水分なし)がまだたっぷりあったのでこれを活用。小さな基盤をエタノールで拭うためには、熊五郎お兄さんのオススメの針付き スポイトボトルとカメラのレンズクリーニング用ペーパーが大活躍でした。私の場合、オリンパスで買ったレンズクリーニング用ペーパーが大量にまだあるのでそれを使いましたが、普通はキムワイプのようですね。
針付きスポイトボトルは基盤のベタつく部分に適量のエタノールを流すのにちょうど良かったでした。狙った部分だけにエタノールを流せますからね。

キムワイプ 12×21.5cm /1箱(200枚入) S-200

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仮止めで失敗 → はんだ吸い取り器が必要になりまた秋葉原へ

作業を中断して慌てて秋葉原に買いに行ったのがはんだ吸い取り器。8本足のオーディオアンプをはんだ付けする際に、まず一本を仮止めした際に残りの足がちゃんと穴に入っていない状態で付けてしまいました。慌てて外して再度付け直そうと思ったら、穴にはんだが入って固まってしまい、半田吸い取り線でも取れません。溶かして付け直せば良いのですが今ひとつ基盤の固定とアンプの固定が定まらず、一旦穴のはんだを取り除くことにしました。そんな時に使うはんだ吸い取り器ですが、私にはまだ必要ないだろうと買っていなかったので、秋葉原に買いに行きました。結果はもちろんバッチリです。

適切ではないパーツを買っていた。(2個)

適切ではないパーツを買っていたものもあります。 一つ目はすでにご紹介している三端子レギュレータ。パーツ調達間違い(表面実装用を買っていた)。どこでどう間違えたのか、表面実装のパーツを買っており、足が穴に入らず悩んだ上に秋月電子にスルーホール型を買いに行きました。
二つ目はボリューム (VR1) のノブの外径が大きすぎて隣にあるジャンパにあたるので、これはめんどくさいのでノブなしで使っています(ノブなしでも使えます)。

二種類の資料に相違が! - LCD の扱い

私が悪いのですが、資料に記載内容が合わない部分があり、かなり悩みました。上にも書きましたが、二種類の組み立てマニュアルで表現が異なり、私のパーツと合わないのでしばらく悩みました。

マルツのキット版 YouTubeからダウンロード版
バック・ライトを光 らせるために写真 6 に示すように基板裏面の“J3”をはんだでショートし,さらに“R9”のパッドに 100Ω の抵抗(小型)をはんだ付けします. この LCD を使う 場合は,バック・ライトを光らせるために基板裏面の“J2”と“J3”をはんだでショートする必要があ ります

恐らくマルツのキットと YouTube に掲載されているパーツが違うのでしょうね。YouTube の部品表で買い物したのに組み立てはマルツのキット版を見ながら組み立てなので、手元の LCD に R9 が無いので J3 のジャンパだけして使っていましたが、ディスプレィの表示が薄くて良く見えませんでした。念の為チェックした YouTube 版の資料を見たら、J2 のショートもするという指示だったので、その通りにしたらしっかり表示されるようになりました。

利用編

設計の別府さんも言っていますが、正直言ってあまり感度の良いラジオにはなっていません。私はこの前組み立てたエコキューブラジオ 3 をベンチマークに動作確認してみましたが、エコキューブの方が感度が良いです。
バーアンテナの巻き線(の尻尾部分)の扱いを変えることで感度が変わるようなので、余裕ができたら試してみたいと思います。

バー・アンテナのタップは巻き数が小さい方(ベージュ色)を使うことをおすすめしますが,あまり にも感度が悪い場合は巻き数が多い方(緑色)のタップを使ってください.ただし,巻き数が多い方の タップを使うと混信や発振のリスクが大きくなるのでご注意ください.

ラジオとしての 3つの動作モード

このラジオの動作は、Pico で実行させるプログラムモジュールの種類、及びアナログボード上の二つのジャンパの設定で複数の動作モードが設定されています。

プログラムモジュールとジャンパの組み合わせ

詳細はマニュアルを参照いただきたいのですが、いずれのモードでも一応どの局でも受信できましたが、 NHK 第一がどのモードでも一番周波数設定が難しかったのは私の家の環境によるのかもしれません。またダイオード検波ではバリコンでチューニングするのは当然ですが、 「Pico 復調」のモードでも LCD での周波数設定だけでは不十分でバリコンのチューニングも必要なので少々操作は煩雑に感じるとともに、チューニングで戸惑っている分それぞれの音質の特徴などをきっちり認識仕分けるのも難しかったです。
恐らくこのラジオは「良い音でラジオを聴く」ためのデバイスではなく、音はそこそこでも「設計した通りに復調できることを確認するデバイス」なので、音質に関してどうこう言っても仕方は無いのでしょう。

Grove

ラジオとは別の利用目的で、Grove インターフェースを 3個装備しているので、各種の周辺機器の制御プログラムを試してみることができるようになっています。Grove とは、 seeed studioが開発した差すだけで配線やはんだ付けなしで周辺デバイスを扱える規格のようです。

www.switch-science.com

色々なデバイスがあるので楽しめそうですが、まだ試していません。

後から設計を見直す - ソースコード、回路図

今回 Pico で動作させるプログラムはダウンロード可能な実行モジュール (.uf2) をそのまま使い、プログラムの中身はちゃんとみていません。本当であればそこで何を行っているのか、どんな数学理論が実装されているのか学ぶのがこのキットの一番の目的だと思います。またアナログ派には回路図から学ぶこともあるのだと思いますが、軟弱な私は「とりあえず聞こえるラジオを組み立てられた」ということで一旦は満足しようかと思います。
ただし、せっかくソースコードがあるので、どんな構造になっているかだけ見てみようと sourcetrail で関数の構造だけチェックしてみましたので興味のある方はご覧ください。

sourcetrail で関数の構造を表示してみた


組み立て前は気合を入れて臨んだのですが、やはり数学理論となると途端にハードルが高く感じられてしまい、尻すぼみになってしまったのは残念ですが、ちゃんと手順を守れば組み上げられたということと、今後気持ちが乗れば作ったコイツの中身を勉強してみたいと思います。