KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

アマチュア無線の相手が少なくなったのでライセンスフリー無線に挑戦 - まずは無線機の選定

交信相手のいなくなったアマチュア無線ユーザーが、デジタル簡易無線機に手を出してみた、と言うお話です。
無線機のハードはお金を払えば誰でも購入できますが、ある程度距離が離れても交信可能なものは出力が大きくなるとともに免許登録が必要になります(もちろん環境やアンテナがより大切であるとしても)。今回はデジタル簡易無線登録局オンライン申請をやってみた、と言うところまで自分の記録も兼ねて何回かに分けて整理しておこうと思います。

人によって興味の対象がいろいろだと思いますが、大きくは「アマチュア無線の資格があるのになぜデジタル簡易無線?」と言うお話と、「登録局の申請をオンラインでやる価値あるの?」と言う点を中心に書く予定です。デバイス自体のレビューのようなものは、私自身がトランシーバーのハードユーザーではないこともあり、基本的には触れないつもりです。
ということで、今回は私のアマチュア無線に関するバックグラウンドから「なぜデジタル簡易無線?」、機種選定までを書いておこうと思います。なお今回は下記書籍を大いに参考にさせていただきました。

as of 2021/08/03 『トランシーバー(無線機)にできること』を追記しました。

ドライブやスキーでトランシーバー使えたらいいのにな → アマチュア無線

以前札幌に住んでいた頃は、若かったこともありますが自然がそばにいろいろあるので、職場の仲間とドライブに行ったりスキーに頻繁に出かけていました。今の若い人は知らないと思いますが、その数年前 (1987年) に原田知世の「私をスキーに連れてって」でスキー場でトランシーバーを利用する、ということも流行っていた時代です。複数の車で出かければ集合や帰りの飯屋の選定、ゲレンデでの集合など「トランシーバーがあれば便利だろうなー」というシチュエーションは多くありました。そこで 30年近く前に仲間と頑張ってアマチュア無線の4級の免許を取得しました。CQ を出すほどののめり込みでは無く、道具としてのトランシーバーでした。
(時代背景の分からない若い人向けに補足しますと、当時は携帯電話も PHS もまだありませんでしたが、ポケットベルはスキー場でもしっかり緊急呼び出しを伝えてくれました)
しかし東京への転勤により当時の「仲間で出かける」こと自体が減り、さらにお手軽なスマホの普及もあって、当時の仲間の間でアマチュア無線機を引っ張り出しての交信をする機会は無くなっていきました。しかし別の友人とキャンプに出かけたりすることはあり、そんな時にトランシーバーを使いたい!とは思うのですが、札幌時代の仲間以外にアマチュア無線の資格を持っている友人はいないのが実情でした。

受信オンリーの世界 - 航空無線(エアバンド)

一般の方は知らないと思いますが、ハンディ機と呼ばれる片手で持てるタイプのトランシーバーはユーザー同士の交信以外にさまざまな交信を受信できます。
免許を取得した 1990年代は警察無線もアナログだったので、家でも盗難自転車チェックの職務質問などをたまに聞いたり、札幌のそばにある札幌貨物ターミナル駅に貨物操車をトランシーバー片手に見に/聞きに行ったりしていましたが、一番よく聞いたのは航空無線/エアバンドでした。もともと飛行機に関しては乗るのも見るのも写真を撮るのも好きで、エアバンドを聞いているとこれから離陸するぞ!離陸の許可をもらったり。遠くからきた飛行機が着陸しようとしているとか、何かと楽しくなります。札幌市内の自宅だとハンディ機では丘珠空港発着機の交信しか聞こえないので、千歳空港に聞きに行くこともしばしば。飛行機の写真も好きなのですが、エアバンドを聞きながら交信している飛行機を見つけるだけでもそれなりに楽しいものです。アマチュア無線という領域での交信は行わなくとも、エアバンドは東京に引っ越してきてもまだ聞いており、家のリフォームした際に屋根に受信用のアンテナを立てて今でも羽田の受信をしたりしています。
なお、昔は気軽に聞けた警察、消防、JR の無線は大体デジタル化が完了して市販のトランシーバーや受信機で交信内容を聞くことは現実的に不可能になっています。

え!アナログトランシーバーって使えなくなるの?(と言う誤解)

さらに時間の経過した先日、7月のとある日、「アナログ無線機は2022年11月30日までで使用できなくなるのをご存じですか!?」という見出しの記事をたまたま目にして、「え!アナログのアマチュア無線は無くなるの????」という衝撃に見舞われました。結局これは一部の業務無線に限ったことで、一般のアマチュア無線トランシーバーに関してはほぼ問題なく使えることが後でわかりました(一部新スプリアス規格の変更あり)。

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少々ミスリーディングな見出し。スコープは業務無線に限ってのお話のようでした。

ただこの件に関してはネットで調べても今ひとつ確証が得られず、「久しぶりに秋葉原の無線屋さんを覗いて見よう!」ということで、富士無線電機に行ってみました。
このお店は、店員さんの付かず離れずの距離感と、分からないことを聞いた時の説明の波長 (?) が私に合っていて、東京でのトランシーバーや受信機、アンテナなどの購入ではいつもお世話になっていました。
店頭にはしっかりアマチュア無線機が並んでおり、もちろん昔はなかったデジタル無線モード対応機が多いですが、私の持っている 10年前の機種も現役で販売されていました。今回のことも確認すると、「何を読んだの?そんなことないよ、安心して。」と。
ついでにデジタル化が進んだアマチュア無線機や新しい簡易無線機の一通りの紹介をしてもらって、「お、自分はこの分野では遅れているな」と感じて帰ってきました。

知らなかった「フリラ」の世界 - ライセンスフリートランシーバー

アマチュア無線の免許は持っていますし、エアバンドは聴くことも多いのですが新しい無線機の動向についてはほとんどチェックしていませんでした。と言うのも、10年以上前に購入した私のトランシーバーの VX-3 やレシーバーの DJ-X11 などがまだ現役でまだマニアの雑誌で紹介されていたりするくらいなので、新製品は停滞しているのかと思っていました。実際この分野の製品サイクルはかなり長く、昔のフィルムカメラの世代交代かそれ以上長い製品寿命のような気がします。

www.yaesu.com

一方、無線を使った楽しむ方は「フリラ」と呼ばれるライセンスフリーラジオ(免許が不要なトランシーバー)がずっと一定の流行があり、そこにデジタルを中心にして新しい規格や製品群が世の中に登場していたようです(今回知りました)し、なんと昔の CB 無線も復活しているとか。
ということで、今回アマチュア無線機ではなくライセンスフリーのトランシーバーで面白そうなものがあったらちょっと手を出して見ようかと思いました。

最初はライセンスフリーのトランシーバーの位置付けがよく分からなかったのですが、トップで紹介した「ライセンスフリー無線完全ガイド vol.5 (三才ムック)」を読んだ上でアイコムのホームページを見てみると、個人利用可能な無線機全体の世界の中では下図のような感じのようです。
(「アイコム (icom) というのは無線機メーカーの一つで、私は過去一度もここの製品を買ったことが無く気になっていたメーカーなのです」)

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アイコムのサイトより個人利用のラインナップ(一部お知らせをカットしています。)
アイコムとしては当然業務用無線機が中心ですが(利用者がアマチュア無線と業務利用では段違い)、個人むけとしては上図のような区分になっています(別に業務用途のページもあります)。左上にいわゆる免許が必要な『アマチュア無線機』があって、右側には送信機能がなく受信すること自体を楽しむ『受信機』があり、右下に『海上通信機器』がありました。この海上通信機器というものは私には馴染みはないのですが、外洋などをヨットで航海する際に必要な「海上特殊無線技士」免許が必要な短波トランシーバーのようです。残る青枠の『ライセンスフリートランシーバー』が今回の興味の対象です。この「ライセンスフリートランシーバー」をさらに分類すると下図のようにさらに3種類のラインナップで構成されています。

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アイコムのサイトより個人利用 > ライセンスフリーのラインナップ(一部お知らせをカットしています))

アイコムで個人むけとして販売している製品は右から『特定省電力トランシーバー』、『デジタル省電力コミュニティ無線』、『デジタル簡易無線登録局 (DPR)』という分類になっています。

特定小電力トランシーバー

最初はアナログです。結構昔からある印象で、家電量販店の店頭でも見かける免許不要、つまり買ってすぐに使えるアナログトランシーバーです。最初に出た頃はおもちゃのトランシーバーに毛が生えた程度のものと思っていましたが、数年前仕事でパシフィコ横浜のイベントの裏方をやった際に実際に使ってみると、複数チームで連携する時の対応など機能的にはしっかりしたものになっていると感じました。ただし、厚い壁を一つでも隔てると200-300m でも厳しい感じで、ドライブで相手が山の裏側などに回ったらかなり厳しいと理解しています。

しかし愛好者は多いようで、中継機の利用ができたり、見晴らしが良ければ意外と飛ぶようなので、色々工夫を凝らして楽しむことができるようです。冷静に考えると本体が安いので複数台一度に揃えることも敷居が低く、友人と行くキャンプでもドライブでもこれが本当は一番無難だったのではないか?とも思いますが、なんといっても出力 10mW (0.01W) というのは心許ないので今回は対象外としました。安いのが一番の魅力なんですけどね。

デジタル小電力コミュニティ無線

名称が上の特定省電力トランシーバーと次のデジタル簡易無線と紛らわしいですが、まさに両方の mix のような感じです。私の雑な整理では、これは特定小電力無線機のデジタルいう理解をしています。 2018年に登場した小電力 (0.5w) のトランシーバーですが、単に特小をデジタル化しただけではなく、少し出力が大きく、通信相手との距離や方角がディスプレイに表示されるといった面白い機能も装備されています。それら機能の背景には「コミュニティ無線」という名前にもあるようなその想定となっている運用形態があるようです。ある程度明確な運用形態を設定して規格化した、というのは面白いなと感じました。調査報告検討報告書が公開されているので一度目を通してみると面白いと思います。
小電力無線システムの高度化に関する調査検討報告書

さらに興味を持ったのが 各種無線関係の YouTuber のももチャンネルのこの動画。特小より出力は大きいとは言え、この後紹介するデジタル簡易無線機の 5w に比べると 1/10 の出力ですが結構な頑張りです。都内であれば 1km 前後の実用になりそうです。ただし、まだまだ機種が限られているのと、自分の GPS位置情報が必ず相手に送られるので自宅運用が気になるという難点があります。それでも特小と同じで免許も登録も不要なので、もう少し普及して機種も増えていればコイツを検討する価値はあるかな、と思いました。

youtu.be

デジタル簡易無線機(登録局)

私が悩んだ挙句に決めたのがこのタイプです。
平成20 (2008) 年に制度化された比較的新しいカテゴリーの無線機です。

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一般社団法人 全国陸上無線協会のホームページから借用

デジタル簡易無線機という規格はどうやら最初から業務利用前提の「免許局」対象製品と個人利用可能で免許は不要だけれど総務省への登録を必須とする「登録局」を明確に分離してラインナップしたのが特徴のようです。
これならアマチュア無線の免許を持たない友人で「自分のトランシーバー買って見ようかな?」という人がいれば気軽に勧められますし、場合によっては自分で 2台導入して必要に応じて友人に 1台貸し出すこともできるようです(「レンタル」として届出は必要なようだけれど)。
何より 5W までの出力があるということは、アマチュア無線機のハンディタイプと同じです。北海道でドライブで使うにもゲレンデで使うにも 5W 機でほぼなんとかなったので、これなら間違い無いだろう!ということでこのジャンルから選択することにしました。

LTE無線機(IP無線機)

アイコムの製品分類では法人向けとなっている製品で、携帯のパケット通信網を使ったトランシーバーです。実際の製品の存在は今回まで知りませんでしたが、パケット通信網があるのだから当然こんな製品はあるはずだろうな、とは思っていました。ちなみに、「スマホとトランシーバーって何が違うの?」と言う疑問を持つ人がいるはずなので簡単に説明しておくと、トランシーバーは電波の発信がブロードキャストなので、テレビと同じでその周波数(等)で受信待ちしている人/デバイスで同時受信できるのです。
ただし、当然携帯網の外(圏外)では利用できないので山の中での利用には向かないでしょうし、何より法人契約前提のようで、個人向けでは無いようです。さらに同一メーカー間でしか通信できないとか。もちろん携帯網を利用するので月額のランニングコストがかかります。あまり個人の興味の対象にはならなさそうです。

スマホのトランシーバーアプリ

ここからはアイコムでは製品が出ていないものです。
これは、「どうせスマホは持っているのだろうから、アプリでトランシーバー機能を実現しよう!」と言うものです。上に書いた「LTE無線機(IP無線機)」をソフトで実現したものと私は理解しています。トランシーバーアプリ、インカムアプリなどの名称でそれなりの数のサービスが出ているようです。個人でも利用できそうですが、圏外では利用できないとか月額利用料金がかかるとか、一般的なトランシーバーとは別世界の感じです。

市民バンド

なんと驚いたのが CB (Citizon Band) が復活しているとのこと。私の認識では今の方は知らないと思いますが、「トラック野郎」時代の不法改造トランシーバーのイメージで、ほとんど淘汰されてなくなっていたと思うのですが、規格は残っていたためか最近マニアの間で復活しているようです。「ライセンスフリー無線完全ガイド vol.5 (三才ムック)」では巻頭に特集が組まれていて、それによると専業のメーカーから新型が発売されているようです。すごいですね〜!

選んだのはアイコムの IC-DPR4

さて、デジタル無線を一度経験したい!という気持ちが強く、デジタル簡易無線機の登録局機にすることにしましたが、その上での機種選定です。結論を先に書いておくと、アイコム IC-DPR4 を選びました。規格上は 5W なのですが製品仕様 2W に制限されていたり、アンテナ交換ができないなど制約のある製品なのですが、アマチュア無線のハードでは一度もアイコムを使ったことがなく、小さく高性能なアイコム製品に憧れていたこと、そのアイコム製品の中でも一番小さいので(多分ないとは思うけれど)登山にも持っていけそうだし、アマチュア無線の経験上 5W と 2W でそうそう変わるものでもないことから、ほとんど一目惚れのように決定しました。

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多分デジタル簡易無線登録局機を買うと必ず一番上に入っていそうなチラシ

ということで、早速登録申請手続きを行いました。次回はオンラインで申請手続きを行うポイントをまとめて見ようと思います。


【補足】ICOM 「トランシーバー(無線機)にできること」

as of 2021/08/03 上で私なりの各種無線機の比較整理を書きましたが、アイコムの 『トランシーバー(無線機)にできること』というページに、トランシーバーと電話の違いから、資格/免許の必要な「特定用途向け」の各種無線や、資格/免許が不要なものを中心とした「汎用トランシーバー」の比較などとてもわかりやすく整理されているページがありましたので掲載しておきます。

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アイコム社ホームページより「汎用トランシーバー」の距離目安

www.icom.co.jp