KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

横領犯の身元保証人として損害賠償請求を受け裁判になった話 (1)

先週まで 1アマの試験勉強に没頭していたり、日頃とっちらかしたようなテーマのブログを書いているので暇な元サラリーマンに見えると思いますが、会社の退職少し前から横領事件に巻き込まれていました。その被害額とされる 500万円弱をとある人物の身元保証人になっていた私に支払え、という請求を受け裁判が続いていたのです。その裁判がちょうど 1アマの試験勉強にどっぷりハマりだした頃に急に和解という形で終了しました。

人生で初めて経験する被告としての裁判 [概要]

ある横領事件がおおよそ 2年半前に発覚しました。私が過去に身元保証人になった男が起こした事件でした。発覚した翌日には私は身元保証人として損害額の支払いを覚悟して被害者側の話を聞きに行ったのですが、被害者側の私に対する説明がそもそも整理されていない上に嘘があることがわかりました。自分一人での対応に限界を感じた私は弁護士と契約し、お互い弁護士を通じてやり取りをしていたところ、訴状一式が特別送達という一種の郵送で家に届き、私は損害賠償請求を受けた被告の一人となりました。

裁判で争うと言っても、身元保証人である私はその責任が有ることを認めた上で一定額の支払いには最初から合意していました。論点は原告側が被害額とする 500万円弱の妥当性、及びその損害賠償請求として 100%の支払いを私に求め続けることが妥当か、ということでした。被告である私の側の主張としてはそもそもの被害金額自体の算定が妥当か、原告側にも管理責任を十分果たしていないことから被害金額の負担割合があるのではないか、と言うことが主たるポイントでした。その結果としては私の主張に近い金額での和解成立となったので、自分としては裁判で争うという負担を背負ってでも主張を貫き通せたことを安堵しています。
しかし納得できたのは和解成立後の話であって、裁判期間中の 2年間は自分の主張が合理的であると信じてはいても相手の不合理な主張が続くというものはストレスであり、また経験したいと思えるようなものではありませんでした。

青天の霹靂で巻き込まれた経験は他の人にも役立つかも

争いごとと無縁な生活を過ごされている方から見たら、「自分が何か悪いことをした訳でもないのに、訴えられて被告という立場になることがある」というだけでびっくりする人も多いと思います。昔よりは少なくなってきているようですが私と同じように身元保証人というものになってしまった人もまだまだいるはずです。いきなり自分の納得できない大金を支払えと請求され、裁判という司法のプロセスに巻き込まれたときにどう立ち向かったら良いものか、そもそも民事訴訟とはどんなに大変なものなのか(人によっては大変ではない?かも)、逆の立場から物事を見たときに、そもそも業務に関わる横領ってどのようにして発生するのか?防ぐことはできないのか?
そんなこんな内容も誰かの役に立つこともあると考え、貴重な体験を自分の整理も兼ねてまとめておこうと思います。

なお、私自身は法律の専門家ではありません。裁判にあたって弁護士契約も結びましたがこのブログに関しては弁護士のサポート範疇外ですのであくまでも法律の素人の私個人の話だということを前提に読んでいただければと思います。 和解条項に NDA を含めていませんのでその点は心配していませんが、良識の範囲であまり不必要に具体的な話は避けて説明したいと思います。

裁判中は頭に血が昇ることも度々あり、裁判での「この酷い原告とのやりとりを明らかにしてやろう!」と怒り心頭になったこともありますが、裁判での闘いといった狭い話だけではなくもう少し広く見れば別の違う視点もあり、それらを知らない人にとっては少しは参考になるのではないかと考えています。
話は以下のようなポイントで整理したいと思います。(予定です)

  1. 事件の概要 - こんな手口が通用するのか (今回はここまでご紹介)

  2. 身元保証人制度 - 今どき引き受けてはいけない

  3. 被害者の私への説明と請求 - なぜそんなに強引に話を進めるのか

  4. やはり弁護士に相談しよう - 経験とバックグラウンドのない戦いはできない

  5. 民事裁判の被告になる - 「被告 = 悪人」ではない。正々堂々と自分の主張を

  6. 横領って防げないの?? - 八百屋さんのザルも今では見かけない

事件の概要

今回は最初なので、どんな登場人物がいて何が起こったのか?を簡単にまとめておきます。

登場人物

メインのこの 3人(会社も含む) は訴状に記載されている「請求の原因」というセクションに当事者として明記されています。最初に訴状のその部分を読んだ際に初めて「自分が被告になったんだ!」と重い気持ちになったのを覚えています。

  • 被害者で原告の自動車販売/整備会社:「X社
  • X社の従業員で横領事件を起こした被告 A :「A
  • 被告A が原告の会社 X社に入社する際に身元保証人となった被告 Bです。

ちなみに A と私の関係ですが、A が X社に入社する際に必要とされた身元保証人の二人のうちの一人として私は印鑑を押しています。あと一人の身元保証人は A の父親で事件発覚当時すでに他界していましたので、その時点で身元保証人は私一人。今回の訴えの対象に A の父親は含まれていませんが、もし存命であれば請求の対象となっていたはずです(裁判になっていたかどうかは別にして)。実はこの亡くなっていた A の父親は、私が社会人になった際に私の身元保証人になってくれた人でした。今でこそ少なくなってきているようですが、私が当時就職した会社でも親以外にも一名の人身元保証人を求めていたのです。そんな経緯もあり、A の就職にあたって私は A の身元保証人となっていました。
A は事件発覚直後に一旦は X 社に対して自分の行為をある程度認め返済をする旨文書「合意書」を書いていますが、その後行方をくらましたままなので返済はされていない様子です。当然原告は刑事事件としても横領の被害届出をしているので、A はここで説明する民事事件とは別に刑事事件の被疑者にもなっているはずです。しかし今のところ捕まったという話は耳にしていません。
また、今回の裁判は途中で被告 A と被告 B (私) の扱いを分離し、被告A に対して原告の請求金額 100%の支払を命じる判決が出ています。しかし被告 A が行方不明なので判決が出たところで一銭も原告に戻ってくるわけではないので、引き続き身元保証人に対する請求は続くわけです。私が説明する和解に至る経緯はあくまでも原告と被告 B である私の間だけの話です。

被告A の行った行為

訴状では大きく A による二種類の不法行為によって会社に損害を与えたとされていす。そしてそれらの行為を 1年にもわたって続けていた、ということでした。

  • 金銭の着服と隠蔽のための値引き処理(現金の横領)
  • 故意又は過失による整備費用の回収不能
金銭の着服と隠蔽のための値引き処理

比較的分かり易い話です。原告 X 社は車検点検の際に顧客から車検諸費用(重量税、自賠責保険料等)を作業開始前に預かり顧客に代わって国庫に収めその後顧客に車を返却します。私が今乗っているスバルで車検諸費用もクレジットカード払いを認めてくれていますが、別の自動車会社に勤めていた友人に聞いたところ、支払い方法の扱いは個々の販売会社の方針によるものらしいのですが、まだまだ現金でしか受け付けない会社が多いようです。理由としてはマージンなく全額をパススルーで顧客に代わって国庫に支払うことになるので、クレジット会社に手数料を取られたくない、ということですね。
A は会社が現金しか認めていないので顧客から現金を預かり、その現金をポケットに入れていた、ということです。顧客には何らかの領収書を発行していたようです。
  顧客の支払い総額 = 車検諸費用(現金払) + 整備代金
被告A は顧客の支払い総額のうち車検諸費用部分を自分のポケットに入れてしまうので、残りの顧客の支払となる整備代金を、会社に対しては諸費用分も合わせた金額として売上を立てていた、ということでした。つまり勝手に整備代金を値引き(不適切な売上計上)をしていたと言うことです。 発覚した直後に被害者を訪ねて説明を受けた私は、被告A は社印を偽造して勝手に領収書を発行していた、という話を聞いて、「A はひでぇことしやがるな..」と思いましたが皆さんはどうでしょうか?

これに類した行為が 30件以上訴状に記載されていました。

故意または過失による整備費用等の回収不能行為

こちらはよくわからない話ですが、一番分かり易いケースを説明すると次のような話でした。

中古車には認定中古車というものがあり、保証期間が設定されているそうです。しかし修理を行う場合には事前に保証会社にその補償の利用申請を行うことが必須とされているそうですが、その申請を行わないまま修理を開始完了し、代金を顧客にも請求することなく修理済みの車を返却してしまった、というものです。
それをもって原告は「その修理代金を保険会社からも顧客からも受け取れなくなった」という主張のみを繰り返しています。この分類に含まれる行為が 15件ほど記載されていました。

ま、回収不能行為とやらはよくわかりませんし、(被告A による勝手な)値引き(操作)自体がすぐさま身元保証人への請求に繋がるのかよく分かりませんが、少なくとも被告 A が顧客から預かった車検諸費用の現金をポケットに入れたことは間違いないようでした。

被告 B (私) への請求理由と請求金額

被害者である原告の主張は、私が身元保証人つまり被告 A の 原告 X 社への債務について身元保証した、と言うのが一点。
そして損害金額に対しては二通りの論理を準備していました。一つは当時の伝票を再現して一件一件を立証したというもの。もう一つは原告が被告A に対して悪さを認めさせて被害金額の合計と返済しますと書かせた 「(返済)合意書」の存在です。一つ目の伝票がなぜオリジナルではなく再現したものかというと、原告の主張では「被告A が悪事の発覚を恐れて売上システムのデータを破棄していたため」とのことでした。


ということで、訴状に記載されていたベースの話は一旦おしまいにして、次は身元保証人についての経験を整理してみようと思います。

A に対するはらわたが煮えくりかえるような憤りと、雑な業務管理の尻拭いまで身元保証人に請求するのかよ!と言う原告への憤りを感じていた 2年間でしたが、この後はできるだけそれらの感情を横に置いて整理できたらと考えています。

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