KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

なぜ金を払う立場なのに、タクシー車内広告を見ることを半強制されなければならないのか?

トヨタの JPN TAXI の普及で乗り心地が向上したタクシーですが、なぜ金を払う側の客が、実質強制的に広告を目の前で見せられなければならないのか?と思いました。

最近のタクシーは乗降しやすさなど快適なのだけれど

何年か前にトヨタがシエンタをベースに開発したタクシー専用車 JPN TAXI によるクラウンコンフォートの置き換えが進み、都内では最近では半分以上が JPN TAXI になっているようです。タクシーを利用することはたまにしかありませんが、その乗降のしやすさや空間の広さに満足していました。

ところが最近のタクシーには助手席のヘッドレスト裏に、つまり助手席の後ろに乗ると目の前に結構大きなディスプレイで広告がひたすら流されています。近距離ならさほど気にしてはいなかったのですが、今回たまたま 10,000円を超える支払いとなる距離/時間乗っていたこともあり、辛かったです。

これってかなり鬱陶しくてむかつきませんか?
私は一人乗車ならたいていは助手席の後ろに座ります。やはり車に乗るなら前が見えた方が自然ですよね。もちろん前を見たくなければ横を見ていれば良いし。
ところが助手席ヘッドレスト裏の大きなディスプレイは前方視界を遮りますし、ぼーっとしていたくても目の前でチラチラすると落ち着きません。
横を見ていようとも思いましたが、横を見ていても前方近くにあるディスプレイのチカチカは気になるし、ずっと横を見ているのは乗車姿勢としても不自然で首が痛くなります。

今回は疲れていたこともあって、運転手に「消してくれ」と頼むのもめんどくさかったので、思わず手に持っていたジャケットをディスプレイに掛けてしまいました。

なぜ腹が立つのか?

昔から民放テレビ/ラジオ放送ではコンテンツの合間合間に広告が割り込みます。慣れもあるでしょうけれど、それとは異なる違和感がタクシー車内広告にはあります。

対価とは関係なく見せられる広告はある

街中に溢れかえる広告、特に動画広告はとても増えました。地下道などは太い柱が丸ごとディスプレイとなっているものも増えましたが、まぁ通り過ぎればおしまい、というレベル。幸いなことにトムクルーズのマイノリティレポートのようにしつこく広告が追いかけてくるまでにはなっていません。

対価の代わりの広告もある

民放テレビ/ラジオ放送はコンテンツ視聴の対価として「広告を見る(見せられる)ことを受け入れ」ていますが、さほど腹は立ちません。もちろん最近では録画して観れば広告をスキップできますし、生放送でスキップできなくてもコンテンツ視聴時間の一部の時間帯に限定されているから諦めもつくのだと思います。

YouTube のようにハッキリしているものもあります。無料視聴の場合はコンテンツをぶつ切りにして広告が入れられますが、金を払えば(有料会員になれば)コンテンツを広告なしで視聴することが可能です。

いずれにしても、コンテンツ視聴というサービスの対価として「広告を見る(見せられる)ことを受け入れ」ることは常識的に納得できます。

対価を支払った上に見せられる広告

購入したサービスの対価を支払った上に、特に要求していない広告を見せられることもあります。

昔から映画館で本編の前に上映される広告(各種予告編)はあるし、最近はその広告時間も長くなっているような気がしますが、私としては一応受け入れられる範囲の広告だと思っています。それはもともと「その映画を見てみたい!」と思わせるような内容になっているからです。少なくとも映画館に足を運ぶ人間であれば受け入れられる範囲で、いや程度の差はあれ惹き込むような内容だから許せるのでしょう。もちろん嫌なら最初だけ我慢すれば終わります

他にも最近増えた電車内ディスプレイ広告もあります。昔は「吊るし」媒体しかありませんでしたが、山手線のように「吊るし広告なし。すべてディスプレイ広告のみ」というものまで登場しています。
私としてはこれも許せる範囲だと考えています。理由は、そもそも水平の視線の上にあるので窓の外を眺めている際に邪魔にならない程度に抑えられていることだと思います、ニュースなど非広告コンテンツもあるのでたまにはディスプレイに視線を向けることがありますが、広告になったら見上げるのをやめれば良いだけです。いずれにしても視界を遮るようにはなっていません

タクシー車内広告は拷問と変わらない

しかし、タクシー車内広告はこれらとは異なると思います。車での移動というサービスの対価はきっちり支払いますし、内容は特に映画広告のような興味を引くようなものではなく単なるテレビコマーシャルの類。さらに悪いのが、ディスプレイが目の前にあり実質半強制で見せられることです
椅子に座ったら前に向くのが自然の姿勢。しかもその目の前に視界を塞ぐような大きなディスプレイ。目の健康にも精神的にも悪いに決まっています。

一応乗客をプロファイリングして広告を流しているようですが、少なくとも私が「お、最後まで見てみたな」と感じたものは皆無です。仮にちょっと惹き込まれるような広告があったとしても、乗車から下車までずっと見せられているのは辛いので、「もう見たくない」と思うのは間違い無いでしょう。

今回乗車した時にはディスプレイを off にする方法が分からなかったので、家に帰ってからネットで調べてみると次から次に出てくるのはタクシー車内広告自体の宣伝とそれに好意的な意見ばかり。結局 off にする方法を見つける前にうんざりして諦めてしまいました。検索してもタクシー広告に否定的な意見はあまり出てこないと言う状態はマジョリティはタクシー車内広告に肯定的なのでしょうか?それとも広告の会社である Google に対して否定的な内容はあまり検索結果に含めないよう依頼をしているのでしょうかね。

確かに現在広告の力が強い世の中になっています。日本では電通の政治にも及ぶ力が話題になりますが、GAFA と呼ばれる巨大グローバル IT 企業の収益構造の中心が広告であることも象徴的です。

でも少なくともタクシー車内広告を出しているのはタクシー会社です。もちろん様々な広告会社がビジネスのためにタクシー会社をそう誘導していることは間違いありませんが、タクシー会社は大切な客が嫌な思いをしてタクシーに乗っていることを知るべきだとです。

自分でできることとしては、乗ったらジャケットを掛けてしまうか、少なくともタクシー車内広告を出すような会社の製品やサービスは買わないようにするくらいかな、と思いました。