今までの投稿と全く脈絡がありませんが、サラリーマン時代の 40代後半からフルートを習うようになりました。もう軽く 10年以上経つのですが、カメの速度くらい上達すれば良い方でなかなか思うようには上手くなりません。もちろんサラリーマン時代には土曜日に行くレッスン日以外の練習ってなかなか難しく、「レッスンに行くのが練習」のような期間が長かったのも事実ですが、サラリーマンをやめてからそれなりにほぼ毎日練習しているにもかかわらず思うように上達できないというのも現実です。。。
自分の経験はまたいつか文字にまとめるような機会があればそうしたいのですが、今回は本のお話です。
- 作者:鈴木 智彦
- 発売日: 2020/03/31
- メディア: Kindle版
ヤクザ雑誌のライターである著者が、ふと昔々の ABBA の名曲ダンシングクイーンを聞いて「自分でも演奏してみたい!」と思ったのをきっかけにピアノ教室に通い、思うように練習時間が取れなかったり上達できなかったりしながらも発表会に臨む、というお話しです。
人生の後半になって既に楽器演奏を始めてみた、という方には「おー!それ、俺が思っていたことだ!」「その経験、わかる分かる!」という表現が連発です。そしてその経験を思い出して「よーし!新鮮な気持ちを取り戻してまた頑張るか!」と思えること間違いありません。
楽器演奏はやった事はないけれども今まで仕事に没頭し続けて、「仕事以外の趣味を始めたいな。楽器が演奏できたら楽しいだろうなー」と頭をよぎったことのある方には、音楽経験の乏しい大人が楽器演奏を始めることの感動と苦労のダイジェストを疑似体験することができます。
私にとって多くの事を代弁してくれる本でした。音楽自体の感動、自分が演奏することによる感動、ただただ繰り返して時間をかけて得られた小さな上達への感動、それらに裏側にある上達の遅さ、才能の無さへの挫折感。そして人前で演奏することの特別さ。
フルートの先生やライブで演奏しているミュージシャンを見ると、逆さに振っても自分には音楽のセンスは無いな〜とは思うのですが、そんな自分でも少しづつ吹けるようになる嬉しさを(これまた文才のない自分には文字に表すことはできないのですが)この本を読みながら色々思い出すことができました。そして最後の演奏会での緊張感も!
最近スランプ(というような大そうなものではありませんが)で気分が今一つの自分でしたが、音楽と真逆?のヤクザ業界?の表現を交えているところが新鮮で面白く一気に読み通してしまいました。
最後にこの本で触れられていて自分でも文字で読んで深く深く共感したことを一つ。
音楽教室の先生の演奏って凄いんですよ!
多くの人が「演奏家として食っていけないから音楽教室で教えているんだろう」と思っているし実際そういう人も多いとは思いますが、では音楽教室の先生の演奏はつまらないの?というと絶対そんな事はありません!
「そりゃお前よりは上手いだろう」 と言うでしょうけれども、あなたが音楽のプロなら別ですが違うんです。先生たちの演奏を生で聞いてみてください。つまらない先入観を持たずに彼ら彼女らの演奏を楽しめたらより謙虚に日頃のレッスンを受けることもできて、それが自分にとっても前向きになれることがわかると思います。
「防弾チョッキなしで千発の鉛弾をお見舞いしてやりたいくらいに」
普通の人ならこんな表現思いつきもしないと思います。
追記) 著者の鈴木さんの Twitter に発表会の Youtube のリンクがありましたので紹介しておきます!ご自身では「自分で見ると死ぬ」と書いてありましたがお気持ちよくわかります!でもカッコイイです!
私もずっと自分の演奏を動画はおろか録音することも無かったのですが、最近録音を強く勧められて歯を食いしばって聞くようにしています‥
さすがヤクザ雑誌のライター?肝が座っているなぁ。私もいつか Youtube に自分の演奏を上げてみたいものです。