KuriKumaChan’s diary

Kuri ちゃんと Kuma ちゃんの飼い主の独り言

始めたいけれども足が重い(2) フィルムのデジタル化(スキャン)- 手間と時間がかかるけれども始めるぞ! Camflix FDA-135L

少し前に「始めたいけれども足が重い」ことの一つとして、ラズベリーパイのお話を書きました。ラズベリーパイは「気になっているのになかなかその気になれない‥」と言うお話ですが、今回のお話は「どうせやらなければならないのだから、さっさとやらないとダメでしょ!」と言うお話です。

30年位前(?)にちょこっとだけ手を付けたものの本格的には進まずそのまま放置。その後もずーっと考えては立ち止まり、また考え始めてはまた立ち止まって一向にちゃんと進められないのがフィルムのスキャンです。去年末に浅沼商会(私のイメージでは「キング」なのですが)から新製品のフィルムスキャナーが発売されたというニュースをみて一瞬「今度こそやろう!」とは思ったのですが、ちょっと冷静さも必要だろうと考え、頭を整理した上で「よし!地道に始めよう!」というお話です。(なお、この製品は Amazon でも他の通販でも「在庫なし」状態が続いていてプレミアがついているようです。私はそれがよく売れている証拠なのか単に出荷数が少ないのかなど裏事情は全く確認していません。)

www.asanumashoukai.co.jp

私のフィルム写真

いつか機会があれば振り返ってみたいとは思いますが、とりあえず高校の写真部のころのフィルムから、社会人でまだ時間的な余裕があった頃に撮影していたフィルムが数100本あります。大半はモノクロで少しのカラーネガとほんの少しのカラーリバーサルです。
大半はベタ焼きで見返せるようにしてあり、フィルム自体もネガフォルダーで整理してあります。これらをデジタル化してアクセスしやすくしたり、思い出のカットをプリンターで大きく印刷したいな、と思っています。(ずっと)

最初のデジタル化はニコンの CoolScan III で

始めてデジタル化を試みたのが 1990年代だったでしょうか。当時はそれなりに高価だったはずのニコンのスキャナーを導入しました。おそらく CoolScan III だったかなぁ。新品で購入したものだと思うので、それなりの覚悟で始めたのだと思います。

www.nikon-image.com

今は手元に製品が残っていないのでニコンのサイトの情報を見て確認するしかないのですが、当時は USB はなく SCSI 接続だったようです。SCSI って今となって個人利用ではほとんど残っていないですが、当時はパソコンの外付け HDD には SCSI 接続のデバイスを使っていたので、スキャナーが SCSI インターフェースでも違和感なく使っていたと思います。何せ他の外部インターフェースと言ったらシリアルポートとパラレルポートくらいしか無かったですからね。(余談ですが今の大半の世代の方はいずれのインターフェースもみた事がないと思いますが、当時はシリアルとパラレルは PC に標準装備でした。おまけとして SCSI, シリアル/パラレルのコネクターのイメージ写真が比較的わかりやすい変換アダプタの写真を載せておきますね。いずれも USB に比べるとデカくて低速でした。)

当時実際にスキャンをしてみると、スキャンをしてその後ファイルとしてパソコンに取り込むには時間がかかり、実質付きっきりで作業する事になるのが辛いな〜と感じて、作業は全く捗ら無かった印象が残っています。 一方、仕事がどんどん忙しくなるので写真自体をやっている時間が取れなくなり、スキャンも完全に放置。
でも「いつか仕事が一区切りしたら」ちゃんとデジタル化したいという思いは強く持っていて、ヤフオクで上級機の CoolScan ED も購入し将来に備えたりしていました。がこれも今でも物置の中の重石に。

フィルムデジタル化の沼

フィルムのデジタル化の方法としてはフィルムスキャナーだけではなく最近は安価な外注もあるようですし、デジタイザー(要はデジカメでフィルムを接写/複写する)などバリエーションもあります。しかしその中の中心的なソリューションであるスキャナー自体は、たまに新製品が出てくるもののだいぶ昔から性能(解像度と処理速度)は頭打ちですし、目立った機能拡張も無いので大きなブレイクスルーが無いのが実情だと思います。
デジタイザーとしては私の認識では大きく3社から発売されていて、最初にペンタックスがジャバラ式の結構大掛かりなものを、その後ニコンが自社デジカメによるカラーネガ反転機能を利用する前提のレンズ前面装着型を発売。最近になって各社の互換レンズを販売している焦点工房からよりシンプルなレンズ前面装着型が発売されていますが、基本機能はニコンのものとほぼ変わらないようです。
デジタル化ソリューション機器の全貌としてはずーっとそんな状況なのでその「時間と手間が掛かる」という状況自体はどの手段を用いても変わらず、デジタル化を思い返す度にその時点で可能な手段の記事を読んでみたりするものの実際には着手していませんでした。

何といっても取り込み自体に時間がかかる

フィルムスキャナーでもフラッドベッドスキャナーでも読み込むのに時間がかかります。中にはスキャナーといってもスキャンはせずに簡易的な内臓デジカメでワンショットでアウトプットするようなものもあるようですが、それなりのアウトプットを期待できる機種ではジーコジーコと 60秒〜数(10)分というのは今でも変わらないようです。 デジタイザーによるデジカメ接写/複写方式では「撮影」はもちろん一瞬ですが、フィルムの装着時のホコリ取りやマウントのセットなど一コマごとにそれなりの儀式の時間が必要です。

色などの補正に手間がかかる

スキャナーの場合専用アプリが読取後に自動的にある程度補正してくれるので、それをベースに好みに合わせたレタッチを行うのが普通のようで、そのレタッチの効率化が勝負だったりします。
「撮影」時間の短いデジカメ接写方式ですが、カラーネガの場合色反転と同時にフィルムベースのカラーも考慮した補正が不可欠です*1。撮影時にカラーフィルターを照明に被せるといったアナログ対応から、レタッチでひたすら頑張る、そして専用のフィルターアプリを使うソリューションもあって新しいものも出てきてはいるようです。
あとはホコリ取りのレタッチ。いくらブロアーブラシで撮影時にホコリ取りしてもどうしても少しは事後補正が必要なホコリが残っているもの。 スキャナーの場合はハードウェアの機能やアプリでホコリ軽減機能があるものもありますが処理時間増に繋がります。

足が重くて始められない理由

一番の理由は手間と時間なのだけれど

私の足が重い理由は、一言で言えば簡単です。上に書いた沼が原因なのです。「お手軽に短時間でそれなりの品質で処理する方法が無い」からです。

もともとフィルム写真は時間と手間のかかるもの

でも、そのフィルム写真を撮っていただいて時はそんなお手軽なことは考えていませんでした。フィルム写真を撮っていた頃はお金が無かったので、モノクロの場合 100ft (30m) のフィルムロールを買ってきてそれを 36枚 の長さに切って使っていましたし、撮影済みのフィルムは自分で現像し引き伸ばしていました。「作業名」を挙げればそれだけですが、実際にはフィルムの準備だけでもダークバックの中で手探りでフィルムのカットとパトローネへの装填。フィルム現像ではダークバックでの現像タンクへの装填から始まり、各種薬品の濃度や温度調整などの準備、現像中にも行う温度管理、定着後の水洗もそれなりの時間をかけて。引き伸ばしに当たっては露光は10秒援護としても 1枚の現像時間が 90秒、水洗や乾燥に一晩、しかも「1カット = 1枚」なんてあり得ずに露光時間を変えて何枚もプリントし、ホコリとりのスポッティングにベタ焼きとフィルムの整理。 後片付けも薬品を中和しての廃棄、暗室の準備と片付けと、今考えると何をするにおいても今では気が遠くなるような時間のかかる作業ばかりですが、そのプロセスも楽しかったんですね。なのでまたフィルム写真はやってみたくてカメラも現像タンクも引き伸ばし機も一式ちゃんと保存してあります。

なぜ今は時間と手間をかけられないのか?

今は会社勤めを終えてある程度時間が自由になる身なので、昔フィルム写真のプロセスを楽しんでいたのならば、フィルムのデジタル化も時間と手間をかけて楽しんじゃえば良いのに!とも思っています。でもフィルムのデジタル化というプロセスを楽しむということは受け入れられ無いのが現実。なぜなんだろう?
自由な時間が多くなったとは言え、やりたいことは山のようにあるので「暇ではない」と言うのが根底にあります。その上で考えて一つは「もうフィルム写真のプロセスに耐えられるような人間ではなくなっちゃったの?」という気がしています。確かにフィルム写真にとって代わるようにデジカメが写真の主力になってきたのに合わせて、生活全般にもデジタル化が浸透して手間のかかる作業は「さっさと片付けられる作業」にどんどん移行してきたようです。年賀状もまだ作成はしていますが、プリントゴッコで手作りするプロセスはデジタルで一掃されました。

さらに、「フィルム写真を現像/引き伸ばしを経てアウトプットすること」と、「一旦フィルム写真として完結しているアウトプットを改めてデジタル化する」っていうのはちょっと違う感じもします。フィルムのデジタル化って全くの新しいアウトプットが出てくるわけでは無いので「プロセスを楽しめる趣味」というよりは「効率化をしないとやっていられない一連の作業」という感じが強いのも事実です。

全カットをデジタル化したくなる欲

他にも私固有かもしれませんが「完全に管理したい欲」もフィルムスキャンの妨げになっているような気がします。 私はどこかで書きましたが、デジカメ写真は全て Lightroom で管理、つまり一覧できるようになっていますし、フィルム写真はほとんど全てがベタ焼きがあるのでこれも一覧できます。そうするとフィルム写真も全部デジタル化した上で可能であれば Lightroom でデジタル写真とともに一元管理したいと考えています(これはいつくもの理由でそう簡単にはいかない)。

blog0.kurikumachan.com

スキャン写真もデジカメ写真も一元管理というのがそうは簡単ではないとしても、デジタル化して全体を眺めて見て、かつてはベタ焼きから選ばれずに大伸ばしできなかったようなカットも拾い上げるものがあるのではないか?などとつらつら考えていると全カットデジタル化したいと言う気持ちになるのです。
しかし上に書いたように手間と時間を全カットにかけるのはなかなか大変なことです。(大半のカットがボツになったものばかりなのですから)

でも始めるぞ!

でもグダグダ言っていデジタル化していないフィルム写真のままでは、お手軽に遠くにいる人に見せたり、昔の引き伸ばしよりはるかにお手軽なプリンターで大きくプリントすることもできません。自分一人でベタ焼きで当時を懐かしんだりすることはできますが、そこでの発見を当時の関係者と共有するのも手間がかかります。

そこで、今こそフィルム資産のデジタル化を始めます!
実はまだその手段だけですが決めました。 既存のデジカメやレンズを使って一コマづつフィルムを撮影する方法でおこないます!

手段といっても機器を決めただけで、そのプロセスにおいては実際には他にもやること、考えなくてはなら無いことがいろいろあります。

  • ネガポジ変換はどうするの? (まずはモノクロを Lightroom で反転調整するところから始めようと思います。)

  • デジタル化後のフィルムは捨てるの? (捨てられるデジタル化が理想なのですが。)

  • ファイルはどのように管理するの? (量が溜まってきてから考えようとおおいます。)

等々、まだまだ決めていかないとならないのですが、まずは試行錯誤してみようかと思います。

でも今回こそデジタル化の道を着実に進めるために、現在進行形でブログで公表していきたいと思います。
仮にまた挫折があったとしてもちゃんと文書化しておくことで自分にとってその次の対応につながると信じて始めようかと思います。自分はわがままな性格なので、やりたいことは他にもたくさんあるのであれこれやりながらのデジタル化作業ですが、長く続けて手持ちのフィルムを何らかの形で全てデジタル化し、その上でまたフィルム写真を始めるのが今の夢です。


というわけで、次回は導入したデジタイザーについてまとめようと思います。

*1:D850、D780のネガフィルムデジタイズ機能を利用する場合を除く